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手作りわんごはん

腎臓病の愛犬も喜ぶ!手作りスープ完全ガイド

あなたの愛犬が最近、ごはんを残すようになったり、水をあまり飲まなくなっていませんか?
それは腎臓病のサインかもしれません。

「療法食だけでは食べない…でも何をあげればいい?」と悩む飼い主さんも多いのではないでしょうか。

でも安心してください。
実は、家庭で作れる手作りスープひとつで、愛犬の食欲を取り戻し、体調管理までサポートできる方法があります。
本記事では、腎臓にやさしく、しかも犬が喜んで飲むスープの作り方から、ステージ別の工夫、毎日のチェックポイントについて徹底解説します。

腎臓病の愛犬の食事に悩んでいる飼い主さんに、是非読んでいただきたい内容です。

目次

腎臓病犬に手作りスープが
注目される理由

「愛犬が腎臓病と診断されてしまった」「療法食を出されたけれど、まったく食べてくれない、そんな飼い主さんの悩みが増える中で、今「手作りスープ」という選択肢が静かに注目を集めています。

腎臓病は、犬の中でも特にシニア期(7歳以降)に多くみられる病気で、完治が難しく“進行を遅らせる”ことが治療の目的になります。
そのため、毎日の「食事内容」こそが最も大切なケア。

しかし実際は、「療法食を食べてくれない」「水を飲まない」「食事量が減った」という壁に多くの飼い主さんがぶつかっています。
そんな中、“香りや温かさで食欲を刺激し、同時に水分も摂れる”「スープ形式の手作り食」は、まさに理想的な選択肢と言えるでしょう。

本記事では、腎臓病犬にスープが注目される理由と、病期ごとの正しい取り入れ方をわかりやすく解説します。


犬の腎臓病の
実情と食事の重要性

犬の腎臓病とは、腎臓が老廃物をうまく排出できなくなる病気です。
血液中に毒素がたまり、倦怠感・食欲不振・多飲多尿などの症状が見られます。

実際、獣医師の調査では、10歳を超えた犬のうち約3頭に1頭が腎臓に何らかのトラブルを抱えているともいわれています。

腎臓は一度ダメージを受けると元に戻らない臓器のため、「治療」ではなく「維持・延命」が治療のゴールです
その中で最も重要なのが食事管理です。

腎臓病の犬にとって食事は「薬」と同じくらい大切です。
・リンやナトリウムを控える
・たんぱく質を適量に調整する
・十分な水分を摂る

この3点を意識するだけで、腎臓への負担を大きく軽減できます。

ドライフード中心の愛犬では、十分な水分が摂れず慢性的な脱水状態に陥っていることが多いのが現実。
この水分不足こそ、腎臓をさらに疲弊させてしまう大きな原因です。

そんな問題を解決するのが「スープ形式の手作りごはん」なのです。

スープ形式の手作り食が
選ばれる理由

腎臓病の犬に「スープ」が注目されるのは、“食べやすく、飲みやすく、優しい”という3拍子がそろっているからです。

まず、スープは香りが立ちやすいため、食欲の落ちた犬でも思わず口にしてくれることが多いです。
鶏肉や白身魚のだしをベースにすることで、嗅覚を刺激し「食べてみようかな」と思わせる力があります。

さらに、スープには自然に水分を摂取させる効果があります。
腎臓病の犬にとって、水分は「老廃物を排出し、血液を薄める」重要なサポート要素です。

手作りスープは「柔らかく煮る」「細かく刻む」「具材をミキサーでペーストにする」など、その子の年齢や口の状態に合わせて自由にアレンジできるのも大きな魅力です。

市販の療法食だけでは補えない「飼い主の愛情」と「食べる喜び」を同時に満たすことができる!
それが、スープが腎臓病の犬に選ばれている一番の理由です。

腎臓病ステージ毎の
スープ活用タイミング

実は腎臓病の進行ステージによって、スープの作り方・使い方は変える必要があります。

本章では、獣医師の臨床現場での指導内容をもとに、ステージ別のポイントを紹介します。

【ステージ1〜2(初期〜中期)】
水分補給と嗜好性アップが目的


この段階では、腎臓の働きはまだ残っており、「水分を多く摂らせる」ことが最優先です。

鶏むね肉・かぼちゃ・にんじん・キャベツなどを薄味で煮て、香り高いスープを与えましょう。

ポイントは「塩・しょうゆ・だしの素」を一切使わないことです。素材の旨みだけで十分です。

【ステージ3(進行期)】
負担を減らしながら“栄養を入れる”


腎臓機能が落ち始めると、食欲が落ちる犬が増えます。

この時期は、スープに低リン・低ナトリウムの具材を選びましょう。

例えば、白身魚・じゃがいも・ブロッコリー・キャベツなど。
だしは「煮干し」ではなく「鶏むね」または「かつお削り節の薄味」もおすすめです。

【ステージ4(末期)】
“少しでも口にしてくれる”ことが最優先


腎臓病末期の犬は、食欲がほとんどなくなります。
この時期の目的は「完璧な栄養バランス」ではなく、“食べられること”

愛犬が好きな香り・舌触り・温度を徹底的に合わせ、“スプーン1杯でも食べてくれたらOK”という気持ちで接してあげてください。

ステージごとに「目的」と「作り方」を変えることで、スープは単なる“食事”ではなく、“治療を支えるツール”にもなるよ。


腎臓病の犬に手作りスープ
を作る前に
押さえておきたいポイント

腎臓病の犬に手作りスープを作ってあげたい、そう思う飼い主さんの気持ちはとてもやさしく、そして正しい方向性です。

腎臓病の犬は「体に必要な栄養をとること」と「腎臓への負担を減らすこと」のバランスがとても繊細。
少しの食材選びや調理方法の違いが、症状の安定にも悪化にもつながる可能性があります。

ここでは、スープを作る前に必ず知っておくべきポイントを「栄養」「食材」「水分」「衛生管理」「獣医相談」の4つの観点から詳しく解説します。

腎臓に負担をかける栄養素と
避けるべき食材

腎臓病の犬にとって、“避ける”べき栄養素と食材を知ることが第一歩です。

■リン(P)

リンは骨や歯の健康に必要なミネラルですが、腎臓病になると余分なリンを体外に排出できなくなります。
血中リン濃度が高いと、腎臓へのダメージが進みやすくなります。

避けたい食材:レバー、卵黄、チーズ、煮干し、鶏皮、魚の骨ごと調

■ナトリウム(塩分)

塩分を摂りすぎると、体が水分をため込み血圧が上昇。腎臓にさらなる負担をかけてしまいます。

避けたい食材:ハム、ソーセージ、ちくわ、味噌、しょうゆ、だしの素、塩味の強いスープの素

■たんぱく質(過剰摂取)

腎臓病では、「たんぱく質の過剰摂取」も大敵
たんぱく質が分解される過程で老廃物(尿素窒素)が発生し、それを排出するのが腎臓の仕事です。
つまり、摂りすぎると腎臓に過剰な負担を与えてしまいます。

⚠️注意すべき食材:赤身肉、レバー、ささみの過剰使用

■添加物・香辛料・油分

市販のスープの素やコンソメ、味付き肉などは厳禁。
塩分だけでなくリン酸塩などの保存料や添加物が多く、腎臓に負担を与えます。

腎臓ケアに取り入れたい
栄養素と推奨食材

避けるものを理解したら、次は「積極的に摂りたい食材」を知りましょう。
腎臓をいたわりながら、体力維持にもつながる栄養素があります。

■低リン・低ナトリウムの食材

白身魚(タラ・カレイ・タイ)や鶏むね肉、卵白は、リンが少なく腎臓にやさしいたんぱく源です。

⭐️野菜:にんじん・キャベツ・かぼちゃ・ブロッコリー

■抗酸化栄養素(ビタミンE・βカロテン・ポリフェノール)

腎臓の老化を抑えるために、抗酸化作用のある食材を取り入れましょう。

⭕️おすすめ:かぼちゃ、にんじん、ブルーベリー、ブロッコリースプラウト

■オメガ3脂肪酸

オメガ3脂肪酸は、炎症を抑え、腎臓病の進行を緩やかにする効果が期待されています。

⭕️おすすめ:白身魚、亜麻仁油、サーモンオイル(少量をトッピングで)

■食物繊維

便通を整え、体内の老廃物を排出しやすくします。

⭕️おすすめ:さつまいも、かぼちゃ、オートミール(ごく少量)

ポイントは、“薄味で香りを活かす”こと。
素材そのものの香りと旨みで嗜好性を高めることが、手作りスープ成功のカギです。

手作りスープの注意点

腎臓病の犬にとって「スープ」は“命の水”。
しかし、作り方や保存方法を誤ると、逆に健康を損なう危険もあります。

■水分:味を濃くしない・温度に注意

水分は多いほど良いのですが、「香りを強くしよう」として味を濃くするのはNGです

スープの温度は人肌(35〜40℃)が理想です。熱すぎると嗅覚が鈍り、冷たすぎると飲みにくくなります。

■たんぱく質:量より質で選ぶ

腎臓病では、高品質なたんぱく質を“少しだけ”が基本です。
目安として、1食あたりのたんぱく質は体重1kgあたり1〜1.5gを目安に、獣医師さんの指導を受けながら、量を調整しましょう。

■保存・衛生:冷蔵3日・冷凍2週間以内が目安

手作りスープは保存料を使わないため、雑菌が繁殖しやすいです。
調理後はすぐに冷ます → 小分け冷凍が理想です。
解凍時は電子レンジで温めすぎず、香りを逃がさないように注意しましょう。

獣医師・栄養管理士に
相談すべきサイン

どんなに愛情を込めて作っても、犬の体調は日々変化します。
次のようなサインが見られたら、手作り食を一時中断し、すぐに獣医師に相談してください。

  • 食欲が2日以上続けて落ちている
  • 嘔吐・下痢・便秘が続く
  • 体重が急に減った、または増えた
  • 尿の量や色がいつもと違う
  • スープを飲んだ後にぐったりする

また、「血液検査でクレアチニン値やBUNが上昇している」「療法食を完全に食べなくなった」という場合も、栄養管理士に“併用レシピ”を相談するのがおすすめです。


腎臓病犬のための
手作りスープレシピ

腎臓病の犬にとって、「食べやすく・水分を自然に摂れる」手作りスープは、日々の体調管理に大きな助けとなります。

本章では、栄養バランスを意識しつつ、自宅で簡単に作れる3つのスープレシピを紹介します。さらに、季節やステージに合わせたアレンジのコツ、失敗しやすいポイントも具体的に解説します。

レシピ①
低リン・低ナトリウム 野菜たっぷり和風だしスープ

腎臓病の初期〜中期におすすめの、体にやさしい定番スープです。
リンとナトリウムを抑えながら、野菜の自然な甘みで食欲を引き出します。

材料(小型犬1日分目安)

  • 水 … 300ml
  • キャベツ … 20g
  • にんじん … 10g
  • かぼちゃ … 10g
  • しいたけ(軸を除く)… 1枚
  • 鶏むね肉(皮なし)… 15g
  • 昆布 … 3cm角1枚

作り方

  1. 鍋に水と昆布を入れて30分ほど浸す。
  2. 弱火でじっくり温め、沸騰前に昆布を取り出す。
  3. 具材をすべて加え、弱火で15〜20分煮る。
  4. 冷まして具材を細かく刻むか、ブレンダーでペースト状に。

ポイント
・動物性だし(かつお節)はリンが高いため避ける。
・具材の食感は、腎臓の状態や歯の健康に合わせて調整。

レシピ②
高嗜好・水分補給重視 魚エキス&コラーゲンスープ

「なかなか食べてくれない」「水分を摂らない」犬に最適。魚の香りで嗜好性を高め、コラーゲンで関節や皮膚の健康もサポートします。

材料(小型犬1日分目安)

  • 水 … 350ml
  • 白身魚(鱈・カレイなど)… 20g
  • ゼラチン … 小さじ1/2(無添加)
  • ブロッコリー(茎も可)… 10g
  • 大根 … 10g
  • オリーブオイル … 数滴

作り方

  1. 魚を熱湯でサッと湯通しして臭みを取る。
  2. 鍋に水と魚・野菜を入れて弱火で15分煮込む。
  3. 火を止めて少し冷まし、ゼラチンを溶かして軽くとろみをつける。
  4. オリーブオイルを最後に数滴加える。

ポイント
・とろみをつけることで「飲む」というより“舐めて食べる”感覚に。
・白身魚の種類は週ごとに変えると飽き防止になります。

レシピ③
シニア期・療法食併用期向け
栄養補助&冷凍保存スープ

療法食をメインにしている犬でも使いやすい、「トッピング感覚」の栄養補助スープ。少量でも水分とミネラルを補えます。

材料(製氷皿約6個分)

  • 水 … 400ml
  • 鶏ささみ … 20g
  • かぼちゃ … 10g
  • きのこ類(舞茸・えのき等)… 10g
  • 無塩の野菜だしパウダー … 少量

作り方

  1. 具材をすべて弱火で15分煮込む。
  2. 火を止め、粗熱をとってからブレンダーで滑らかに。
  3. 製氷皿に流し入れて冷凍保存。
  4. 与える際は1個分(約50ml)を自然解凍または湯せんで温める。

ポイント
・療法食に直接かけてもOK。香りで食欲を刺激しましょう。
・冷凍のまま与えない(腸を冷やすため)ようにしましょう。

応用アレンジ:
季節/体調/好みに応じたカスタマイズ

腎臓病犬の状態や季節によって、同じスープでも少しの工夫で使い分けができます。

状況アレンジ例ポイント
夏バテ気味スープを少し冷やし、きゅうりやトマト少量を追加食欲増進&水分補給
冬の冷え対策生姜のごく少量を加えて温め効果体温維持・代謝UP
食欲不振鶏スープベースにごま油を1滴香りで嗜好性UP
下痢気味具材を完全ペーストにして消化を助ける胃腸への負担軽減

注意点: アレンジはあくまで軽度症状や季節対応。数値が悪化している場合は必ず獣医師に確認をしましょう。

失敗しがちなポイントと
その回避法

手作りスープはやさしい反面、油断すると腎臓に負担をかけてしまうこともあります。よくある失敗例を紹介します。

失敗例リスク回避法
かつおだし・チキンスープを使用リン・ナトリウム過多昆布・野菜だしに切り替え
味見して塩分を足す犬にとって過剰塩分塩・しょうゆ・味噌は一切不要
魚の骨を取り忘れる消化不良・喉詰まり骨は必ず全除去
作り置きを常温放置細菌繁殖・下痢冷蔵2日以内・冷凍1週間以内で管理
脂肪を多く使う腎臓・肝臓負担油はごく少量(数滴)で十分

腎臓病犬のスープづくりで大切なのは、“見た目より機能”!
「薄味すぎるかな?」と感じるくらいでちょうど良いバランスだよ。


手作りスープを始めるときの
現実的な悩みと解決策

腎臓病と診断された愛犬のために「少しでもおいしく食べてほしい」「食欲を取り戻してほしい」と思い、手作りスープを検討する飼い主さんは少なくありません。
しかし同時に、「療法食をやめていいの?」「毎日作るのは大変そう」「栄養バランスが心配」など、現実的な不安も多いでしょう。

本章では、実際に多くの飼い主さんが抱く“4つのリアルな悩み”を取り上げ、その具体的な解決策をまとめました。

悩み①
診断されたら療法食しか与えてはいけない?

腎臓病と診断されると、多くの獣医師から「療法食(腎臓サポート食)」の給餌を勧められます。
確かに、療法食は科学的に栄養設計されており、リン・ナトリウム・たんぱく質の量が厳密にコントロールされています。
したがって、病期が進行している犬にとっては“安全で効果的な選択”です。

一方で、「療法食しかダメ」と思い込む必要はありません。
実際、多くの獣医栄養学のガイドライン(AAHAやNRCなど)でも、「嗜好性が落ちて食べない場合は、手作りで食欲を維持することも選択肢」とされています。

つまり、“食べない療法食”より“食べる手作りスープ”のほうが、結果的に腎臓へのダメージを防ぐケースもあるのです。

ただし注意点として、完全に療法食をやめるのではなく、「療法食+手作りスープの併用」や「一部トッピングとして利用」という段階的な導入がおすすめです。
獣医師と相談しながら、無理なく進めていきましょう。

悩み②
手作りごはんは時間・コストがかかるのでは?

「毎日煮出して、食材を細かく刻んで…そんな時間ない!」という声はとても多いです。
しかし、腎臓病犬のスープ作りは“時短・低コスト”に工夫できるのが特徴です。

例えば、鶏むね肉・かぼちゃ・キャベツ・ブロッコリーなど、腎臓に優しい定番食材をまとめて煮込み、冷凍キューブ化しておけば、1週間分を一度に準備できます。
出汁は煮干しではなく鶏ガラや野菜出汁を使うと、リンやナトリウムを抑えながら旨味を引き出せます。

最近では獣医師監修の冷凍手作りスープ(市販)も登場しており、忙しい日だけそれを活用するのも現実的な方法です。
「完璧にやらなきゃ」と思うよりも、“食欲を支える工夫”を続けること
が最も大切です。

悩み③
「どうやって成分・量を管理すればいい?

手作りスープを始めた飼い主さんの多くが感じるのが、「どのくらいのたんぱく質やリン量が適正なの?」という疑問です。
結論から言えば、家庭での完全計算は難しく、おおまかなバランス感覚と獣医師の定期チェックの併用が理想です。

基本の目安としては以下の通りです:

項目腎臓病犬向けの目安ポイント
たんぱく質体重1kgあたり1.8〜2.5g/日(軽度)動物性+植物性をバランスよく
リンできるだけ低く(骨・内臓を控える)出汁やスープの素材で調整
ナトリウム塩分無添加人用スープの流用はNG
水分体重1kgあたり約50〜60ml/日スープで自然に摂取できる

「腎臓数値が安定している時期」と「悪化傾向が見られる時期」で食事内容を微調整することが大切です。
迷ったときは、ペット栄養管理士にレシピを見てもらうのも安心です。

悩み④
うちの犬は好き嫌い・偏食で…スープも食べない!

腎臓病の犬は、味覚や嗅覚の変化により“これまで食べていたものを急に嫌がる”ことがよくあります。
この場合、香り・温度・食感の3要素を見直してみましょう。

  • 香り:鶏ささみや白身魚を少量加えると嗜好性がアップ。
  • 温度:人肌(約38℃前後)に温めることで香りが立ち、食欲を刺激。
  • 食感:ミキサーでとろみをつけると、飲み込みが楽になるケースも。

また、毎回同じ味だと飽きてしまうため、数種類のスープをローテーションするのもおすすめです。
「今日は鶏と野菜」「明日は白身魚と豆腐」など、バリエーションを持たせることで、食べる楽しみを取り戻せることがあります。

それでも食欲が落ちるときは、脱水や口内炎などの身体的原因が隠れていることもあるため、早めに動物病院で相談をしましょう。
スープは“治療”ではなく“サポート食”。
だからこそ、無理なく続けられる形で、愛犬と一緒に向き合っていくことが大切です。


手作りスープ活用時の
チェックリスト

固形のごはんを残す犬でも、スープ状にすることで水分と栄養を同時に摂取できるため、食欲が落ちやすい腎臓病期に役立ちます。

ただし、「なんとなく良さそう」で与えるのは危険です。
腎臓病の管理では水分・たんぱく質・リン・ナトリウムなどのバランスが非常に重要。

本章では、安全で効果的な手作りスープ活用のチェックポイントを解説します。

毎日のチェック項目

スープを導入したら、まず意識したいのが毎日の変化の観察です。
腎臓病は進行性のため、日々のわずかなサインを見逃さないことが大切です。

チェック項目見るポイント注意すべき変化
食欲スープを飲む量、食べ方急に飲まなくなる・嫌がる
尿量回数と量、色極端に増減・濃い色尿・血尿
体重週1回を目安に測定急な減少(脱水・筋肉量低下)
飲水量1日あたりの摂取量体重1kgあたり約50mlが目安。急な増減に注意

スープで水分を摂るようになると、飲水量が減っても脱水ではない場合があります。
そのため、スープの量も含めた総水分摂取量を把握するのがポイントです。
食欲が安定していても体重が減少している場合は、カロリーが足りていない可能性があります。

血液検査で見るべき腎臓関連指標と
スープ導入後の変化の目安

スープ導入の効果を客観的に判断するには、血液検査データのチェックが欠かせません。
主に見るべき指標は以下の通りです。

指標略称正常値スープ導入後の変化の見方
尿素窒素BUN7〜27 mg/dl上昇が抑えられていれば◎
クレアチニンCre0.4〜1.4 mg/dl安定または緩やかな上昇なら良好
リンP2.5〜6.0 mg/dl上昇傾向なら食材の見直しを
ナトリウムNa140〜155 mEq/L高すぎる場合はスープの塩分を調整

腎臓病期では「悪化を止める」ことが目標です。

スープ導入後にBUNやクレアチニンが急上昇しなければ、腎臓への負担を増やしていない証拠といえます。
特にリンの数値が上がる場合、食材に鶏レバーや魚の骨などリンの多い部分が含まれていないかを見直しましょう。

スープ導入から3〜6か月後に
確認したいこと

腎臓病管理は「短期改善」よりも長期的な安定が大切です。
スープを始めて3〜6か月経過したら、次の3点をチェックしましょう。

  1. 体調面の変化
     ・元気、排尿、被毛のツヤなど。
     ・「なんとなく調子が良さそう」が継続していれば◎。
  2. 血液検査の推移
     ・数値の改善はもちろん、悪化していないことも大きな成果です。
     ・3か月ごとの検査を推奨。
  3. 食いつきの安定
     ・初期は喜んで飲んでも、飽きる犬も多い。
     ・**味の変化(具材や香りの工夫)**で無理なく続けられるようにしましょう。

たとえば、毎回同じ味のスープより、野菜を少し変える・香りづけにごく少量のかつお節を加えるだけでも嗜好性が変わります。
ただし、塩分やリンの多い食材(ツナ缶、鶏皮、乳製品など)は避けることを忘れないようにしましょう。

他のサポート食との併用注意点

腎臓病の犬では、スープだけで栄養を完結させるのは難しいため、療法食やサプリメント、水分補給アイテムとの併用を行うケースが多いです。
しかし、これらを併用する際には重複成分と塩分量に注意が必要です。

注意したい併用ポイント

  • 療法食+スープ
     → スープが塩分・たんぱく質を過剰にしないよう、具材は薄味・脂控えめで調整。
  • サプリ(オメガ3、リン吸着剤など)
     → 食事やスープとのタイミングをずらすと吸収が安定。
  • 水分補給ゼリーやペットスープ製品
     → 塩分・カロリーが重複しやすいので、原材料表示を必ず確認

スープがおいしすぎて療法食を食べなくなる場合もあるから、トッピング的に少量からスタートするのがオススメだよ。


愛犬にとって最適な
スープライフのために
できること

手作りスープを取り入れることは、単なる“ごはんの工夫”ではなく、愛犬の生きる力を支える選択です。

本章では、「どう始めればいいの?」という飼い主さんに向けて、今日から実践できる3つのステップと、愛犬に合ったスープの考え方をご紹介します。

あなたの愛犬にとって最適なスープライフを、今日から一緒に始めましょう。

今日から実践できる3つのステップ

①食材リストを作る

  • 腎臓にやさしい食材は、低リン・低ナトリウム・消化が良いものを選びましょう。
  • 代表的なのは「キャベツ」「大根」「にんじん」「かぼちゃ」「さつまいも」「鶏むね肉(皮なし)」「白身魚」などです。
  • これらを使って**“OK食材リスト”**を作ることで、迷わずスープ作りを始められます。
  • 苦手食材がある場合は、少量ずつ加えて嗜好を確認するのもポイントです。

冷凍スープを仕込む

  • 忙しい日も続けられるコツは、「まとめて作って冷凍」すること。
  • 野菜を細かく刻み、鶏肉や魚を加えて煮出したら、スープだけを小分け冷凍するのがおすすめです。
  • 氷のキューブトレーを使えば、1回分を解凍するだけで便利です.
  • 解凍時にぬるま湯を少し加えると香りが立ち、食欲が落ちた犬でも反応しやすくなります。

スープ日記をつける

  • 手作りを始めたら、「食べた量・尿量・体調・血液検査」を簡単にメモしておきましょう。
  • スープ導入前後で比較できると、効果の実感が得やすくなります。
  • また、動物病院で相談する際にも「どんなスープを、どのくらい与えたか」が伝わるため、より的確ながもらえます。

腎臓病のケアは長期戦です。
飼い主さんも無理をしすぎず、できることから一つずつ始めてみてください。

あなたの愛犬の「スープパターン」は?

犬にもそれぞれ「スープとの付き合い方」があります。
性格や年齢、嗜好によって、最適なスープパターンを見つけることが重要です。

タイプ特徴おすすめスープの与え方
慎重派タイプ初めての味に警戒するいつものフードに少量混ぜて慣らす
グルメタイプ飽きっぽく好みが変わる香りを変える(かぼちゃ・ささみ・白身魚でローテ)
シニアタイプ噛む力・嗅覚が低下柔らかめ&香り重視(鶏スープベース+野菜)
元気はあるけど食欲が波あり体調で嗜好が変わる体調良い日に新しい食材を試し、好みを記録

ここで大切なのは、「どんなスープが一番喜ぶか」を観察して探すプロセスです.
腎臓病の管理は、数値を追うだけでなく、「今日もおいしく食べた」という日々の積み重ねが何よりの励みになります。

あなたの愛犬は、どのタイプに近いでしょうか?
ぜひ、明日のスープ作りの参考にしてみてください。


まとめ

腎臓病の愛犬の手作りスープで押さえておきたい重要ポイントをまとめました。

  • 腎臓病犬に手作りスープは強力なサポート食
    食欲が落ちた犬でも水分と栄養を同時に摂れるため、体調維持に役立つ。
  • 療法食との併用が基本
    完全に置き換えるのではなく、トッピングや水分補給として少量ずつ導入するのが安全。
  • 食材選びは低リン・低ナトリウム・消化が良いものが基本
    鶏むね肉・白身魚・かぼちゃ・キャベツ・さつまいもなどが代表例。
    高リン・塩分過多の食材は避ける。
  • 冷凍保存で手間を減らす
    まとめて作り小分け冷凍すれば、忙しい日でも続けやすい。
    解凍時にぬるま湯を加えると香りが立ち、食欲を刺激。
  • 毎日の観察と記録が重要
    食欲・体重・尿量・飲水量を日々チェックし、変化を記録。
    血液検査(BUN・クレアチニン・リン・ナトリウム)と併用すると効果がわかりやすい。
  • 犬のタイプに合わせたスープパターンを作る
    年齢・性格・食欲に応じて、香りや具材、温度を調整し、ローテーションで飽きを防ぐ。
  • 併用するサプリや療法食とのバランスに注意
    重複成分や塩分量を確認し、必要に応じて獣医師・栄養士と相談する。
  • 継続が最大のポイント
    腎臓病ケアは長期戦。手作りスープは「食べる楽しみ」と「水分・栄養補給」を両立するツールとして、無理なく続けることが成功の秘訣。

皆さまの愛犬が健やかに過ごされる一助になれれば幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうござました。

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