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手作りわんごはん

犬ストルバイトと手作り食|原因から改善まで徹底解説

動物病院で「ストルバイト結晶が出ています」と言われ、はじめてこの言葉を知ったという飼い主さんも少なくないでしょう。

それまでも、トイレの回数が増えた、何度もしゃがむのにあまり尿が出ていない、そんな様子が気になっていたものの、「まさかストルバイト結晶が原因だったなんて」と驚く飼い主さんも多いかもしれません。

わが家も同じでした。
ときどき粗相をするようになり、排尿後のトイレシートがキラキラしているのが気になって尿検査を受けたところ、「ストルバイト結晶が出ています」と告げられました。

治療として療法食を勧められることが一般的ですが、
その一方で、
「手作り食という選択肢はどうなのだろう」
「食事でどこまで変えられるのだろう」
と考える飼い主さんもいるのではないでしょうか。

本記事では、犬のストルバイトに関する基本的な情報を整理しながら、わが家で取り組んだ食事管理の体験談についてご紹介してます。

同じように悩んでいる飼い主さんが、情報を整理し、愛犬に合った方法を考えるための参考になれば幸いです。

ストルバイトとは|
犬の尿路結石の基礎知識

愛犬がストルバイトと診断された飼い主さんは、
「病院で”ストルバイト結石”と言われたけれど、療法食しか選択肢はないの?」
「なぜうちの子がストルバイトになったの?」
「手作り食は効果があるの?」
という、不安や悩みを抱えているのではないでしょうか。

ストルバイトは、犬の尿路結石の中でも比較的多いタイプです。
とはいえ、「とりあえず療法食」という説明だけでは不安が残るのも当然です。
手作り食を検討している飼い主さんほど、「仕組みをきちんと理解したい」と思っているのではないでしょうか。

本章ではまず、ストルバイトの正体と体内で起こっていることをわかりやすく解説します。


犬にストルバイトができる理由

ストルバイトとは、リン酸アンモニウムマグネシウムというミネラルが結晶化したものです。

ポイントは、次の3つです。

ストルバイトの特徴

  • 尿のpHがアルカリ性に傾く
  • マグネシウム・リンが過剰になる
  • 細菌感染が関与することがある

尿のpHがカギを握る

犬の健康な尿は弱酸性(pH6前後)が理想とされています。

しかし、何らかの理由でアルカリ性に傾くと、ストルバイトは一気に結晶化しやすくなります。

ミネラルバランス

食事のミネラルバランスが重要です。

市販フードでも、穀物割合が高い・ミネラルバランスが偏っている・水分量が少ない、といった条件が重なると尿が濃くなり、結晶ができやすくなります。

ミネラル設計を理解せず手作り食を作ると、逆にリスクを高める可能性もあります。

細菌感染との関係

特にメス犬では、膀胱炎をきっかけに尿がアルカリ化し、ストルバイトが形成されることがあります

つまり、「食事だけが原因」ではなく、「感染+体質+食事」が複合的に絡んでいるのです。

本当に大切なのは体内で何が起きているかを理解することです。


ストルバイトの初期症状とサイン

ストルバイトは初期段階では症状がほとんど現れないため、発見が遅れやすい結石です。
よく見られるサインは以下の通りです。

ストルバイトのサイン

  • トイレの回数が増えた
  • 少量ずつ何度も排尿する
  • 尿の色が濃い
  • キラキラした結晶が見えることがある
  • 排尿時に落ち着きがない

これらの症状は、「水をよく飲んだからかな?」「寒いからトイレが近いのかな?」と見過ごしてしまうこともあります。

特に注意したい危険なサインは以下です。

危険なサイン

  • 血尿
  • 排尿姿勢をとるのに尿が出ない
  • 元気がなくなる
  • 嘔吐

特にオス犬は尿道閉塞を起こしやすく、命に関わる場合もあります。これらの症状が見られたときは、速やかに獣医師の診察を受けることが重要です。

わが家の実体験

わが家の愛犬の場合は、排尿の粗相から症状が始まりました
普段は粗相をすることがほとんどなかったので、最初は「どうしたのかな」と気になる程度でした。

その後、排尿後のトイレシートにキラキラと結晶が見えることに気づき、念のため尿検査を受けたところ、ストルバイトと診断されました。

食事療法を始めて結晶がなくなると、粗相もなくなりました。
後から考えると、間に合わなかった尿が粗相として現れていたのだと気づきました。


検査方法と診断の流れ

ストルバイトの診断は、主に次の流れで行われます。

1. 尿検査

最も基本的な検査です。尿pH、結晶の有無、細菌、比重などを確認します。
ここでストルバイト結晶が見つかることがあります。

2. 超音波検査

膀胱内に結石があるかどうかを確認します。
小さな結石でも発見できることがあります。

3. レントゲン検査

ストルバイトはレントゲンに映りやすい結石です。
大きさや数を把握するために行われます。

■ 結晶と結石は違う

「結晶がある」=「すぐ手術」ではありません。
結晶段階であれば、食事管理、水分管理、感染治療で改善する可能性もあります

ストルバイトは単なるミネラルの塊ではなく、体の環境バランスが崩れたサインです。
手作り食を選ぶ場合は、尿pH・ミネラルバランス・水分量を意識し、必ず獣医師と連携しながら進めましょう。


ストルバイト予防に
食事が大切な理由

犬のストルバイトは、体内の尿の成分やpH、ミネラルバランスによって結晶ができやすくなることが知られています。

食事内容はこれらに直接影響するため、ストルバイトの予防や改善において重要な役割を果たします。

ただ「食事が大切」と言われても、具体的にどの成分がどのように影響するのかを知る機会は少ないのではないでしょうか。本章では、尿pHやマグネシウム、カルシウム、リンといったミネラルの関係など、科学的な根拠に基づいて解説します。

これを理解することで、手作り食に取り組む場合でも、療法食を選ぶ場合でも、なぜその食事が推奨されるのかが納得しやすくなります。


尿のpHと結石の関係

ストルバイト結石が形成される最大の条件は、尿がアルカリ性に傾くことです。

犬の健康な尿は弱酸性(pH6.0前後)が理想とされています
しかし、pHが7.0以上のアルカリ性に傾くと、リン・マグネシウム・アンモニウムが結合しやすくなり、結晶ができやすくなります。

食事でpHが変わる理由

食事に含まれる栄養素は、体内で代謝された後、最終的に尿として排泄されます。
その際、たんぱく質の種類やミネラル量によって尿の性質が変わります。

例えば、動物性たんぱく質は比較的尿を酸性に傾けやすく、植物性原料が多いとアルカリに傾きやすい傾向があります

尿の濃さ(比重)の重要性

さらに重要なのが水分量です。
ドライフード中心の食事では尿が濃縮されやすく、同じミネラル量でも結晶化しやすくなります

実は「pHだけを見る」のではなく、尿の濃さ(比重)と水分摂取量をセットで考えることが、再発予防には欠かせません。
手作り食を考える場合も、以下の内容が重要になります。

手作り食のポイント

  • 尿を弱酸性に保てる設計か
  • 水分を十分に含んでいるか
  • 継続的にpHをチェックできる環境があるか

こうしたポイントを押さえておくと、より効果的にストルバイトの予防や改善につなげることができます。


ミネラルバランスの重要性

ストルバイトは、リン酸アンモニウムマグネシウムでできています。
つまり、マグネシウムやリンが多すぎるとリスクが高まります。

しかし、ここで誤解してはいけないのは、「ゼロにすればいいわけではない」ということです。

不足もまた危険

マグネシウムやカルシウムは、骨や筋肉、神経の働きに不可欠な栄養素です
極端に制限すると、別の健康問題を招く可能性があります。

特に手作り食では、ミネラルの量が安定しにくいことがあり、注意が必要です。

例えば、

  • 鶏むね肉中心なのか
  • 魚を使うのか
  • 内臓を加えるのか
  • 野菜の種類は何か

これらの違いでミネラル量は変わります。

本当に重要なのはバランスと比率です。
カルシウムとリンの比率(Ca:Pバランス)が崩れると、代謝が乱れ、結果的に尿中排泄量が変化することもあります。

手作り食を選ぶ場合は、

  • 食材ごとのミネラル含有量を把握する
  • 極端な偏りを避ける
  • 定期的に尿検査を行う

この3つが不可欠です。


市販療法食と手作り食の
メリット・デメリット

療法食と手作り食、どちらを選べばよいか迷う飼い主さんは少なくありません。

実際に、それぞれにメリットと注意点があります。ここでは、両方の特徴を整理しながら、手作り食に取り組む場合に知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。

市販療法食のメリット

  • ミネラル量とpH設計が科学的に調整されている
  • 管理が簡単
  • 再発率データが比較的多い

特に急性期や結石が大きい場合は、療法食が第一選択になることが多いです

市販療法食のデメリット

  • 水分量が少ない(ドライタイプの場合)
  • 原材料が気になる飼い主も多い
  • 長期使用に不安を感じる人がいる
わんこママ
わんこママ

わが家も長期使用に不安を感じ、手作り食を始めました。

手作り食のメリット

  • 水分をしっかり摂れる
  • 食材を自分で選べる安心感
  • 食いつきが良いことが多い

手作り食のデメリット

  • ミネラル設計が難しい
  • 自己判断で悪化させるリスク
  • 継続的な尿チェックが必要

ここで大切なのは、「どちらが正しいか」ではなく、今の愛犬の状態に合っているかです。

  • 結石が溶解段階なのか
  • 再発予防期なのか
  • 感染があるのか

この違いによって最適解は変わります。

「自然だから安心」「療法食だから安全」だけで決めるのではなく、検査結果に基づいて判断することが、遠回りに見えて最短ルートです。

ストルバイトは、正しく理解すればコントロール可能な疾患です。
食事はその中心にありますが、感覚ではなく、科学的根拠と客観的データに基づいて選ぶことが何より大切です。


手作り食でストルバイトを
予防する基本ポイント

ストルバイト結晶を防ぐためには、食事の内容やバランスを意識することが大切です。
特に手作り食では、栄養素やミネラルの量が変わりやすく、ちょっとした調整が結晶の予防につながります。

本章では、手作り食で意識したい基本のポイントを整理しました。
まずは、愛犬の健康を守るために抑えておきたい栄養ルールから見ていきましょう。

絶対守るべき5つの栄養ルール

ストルバイトは「尿環境の乱れ」が原因で起こります。
つまり、食事の目的は尿環境を整えることです。

次の5つは、必ず意識してください。

① 水分量を最優先にする

最も重要なのは水分です。
尿が濃縮されると、ミネラルは結晶化しやすくなります。

目安としては、食事はスープ状〜雑炊状が理想です。
ドライフード中心の生活から手作り食へ切り替える最大のメリットと言えます。

② 尿を弱酸性に保つたんぱく質設計

動物性たんぱく質(鶏肉・白身魚など)は、比較的尿を酸性に保ちやすい傾向があります。

ただし、高たんぱく=良い、ではありません。
過剰になると腎臓に負担がかかる場合もあります。

体重や活動量に合わせて、適正量を守ることが大切です。

③ マグネシウム・リンを過剰にしない

ストルバイトの構成成分であるマグネシウムとリンは、控えめに設計します
特に内臓類や小魚の与えすぎには注意が必要です。

しかし「ゼロ」にする必要はありません。
重要なのは過不足のないバランスです。

④ カルシウムとのバランスを整える

カルシウムとリンの比率(Ca:P比)は非常に重要です。
理想はおよそ1.2〜1.4:1 程度。
手作り食ではカルシウム不足になりやすいため、卵殻パウダーなどで調整することもあります。
ただし、自己判断ではなく、必ず検査結果を参考にしてください。

⑤ 定期的な尿検査を前提にする

手作り食は「完成形」がありません。
体質や季節によって尿pHは変わります

定期的な尿検査を前提に設計することが、安全に続ける条件です。

検査して調整することが成功の秘訣だよ❣️


安全な食材一覧

手作り食を始めるときに多くの飼い主さんが迷うのが、「どの食材を使えば安全なのか」という点です。

特にストルバイトの予防を意識する場合、ミネラルバランスや消化のしやすさにも気を配る必要があります。

日常的に取り入れやすく、比較的安心して使える食材を中心にまとめました。
あわせて、与える際の注意点や避けたほうがよい食材も紹介していきます。

比較的使いやすい食材

  • 鶏むね肉(皮なし)
  • ささみ
  • 白身魚(タラなど)
  • かぼちゃ(少量)
  • キャベツ
  • きゅうり
  • 大根

基本は「低脂肪・適度なたんぱく質・水分を多く含む食材」です。


控えたい食材

  • 煮干し・小魚類(マグネシウムが高い)
  • レバーの与えすぎ
  • ほうれん草(シュウ酸が多い)
  • 高塩分の加工食品

特に“健康に良さそう”という理由だけで食材を選ぶのは危険です。
ストルバイト対策では成分ベースで考えることが必要です。

手作り食が
向いている犬・向いていない犬

手作り食は、愛犬の健康管理やストルバイト予防に役立つ方法のひとつですが、すべての犬に適しているわけではありません。

犬種や年齢、持病の有無によっては注意が必要な場合もあります。

ここでは、手作り食が特に向いている犬、逆に注意が必要な犬の特徴を整理しました。
愛犬に合わせて無理なく取り入れるための判断の参考にしてください。

向いている犬

  • 結晶段階で、まだ結石が大きくない
  • 飼い主が定期的に検査へ行ける
  • 食事管理を継続できる
  • 水分摂取量を確保できる環境がある

向いていない犬

  • 尿道閉塞の既往がある
  • 大きな結石が確認されている
  • 感染がコントロールできていない
  • 検査が難しい環境にある

特に急性期は、療法食や獣医師の治療が最優先です。

「手作り=愛情」ではありません。
その子の状態に合った選択をすることこそが、真の愛情です。


ストルバイト改善のための
手作り食レシピ

ストルバイト予防の手作り食を考えるとき、気になることはたくさんあります。

「具体的なレシピは?」
「どのくらいの量を与えればいいの?」
「本当に改善につながるの?」

本章では、理論だけでなく、実際に作りやすいレシピを段階別に紹介します。

設計のポイントは主に3つです。

  • 水分量の確保
  • 尿のpH調整
  • ミネラルバランス(マグネシウム・カルシウム・リン)

結石の状態や健康状況によって調整が必要です。
必ず獣医師と相談しながら、自分の愛犬に合ったレシピを参考にしてください。


初級:
尿pH調整の基本レシピ

まずはシンプルで失敗しにくいレシピです。

結晶段階や再発予防期に向いています。

材料(体重5kgの成犬・1日分目安)

  • 鶏むね肉(皮なし)100g
  • 白米 40g(炊いた状態)
  • キャベツ 30g
  • 大根 20g
  • 水 200〜250ml
  • 卵殻パウダー 少量(カルシウム調整用)

作り方

  • 食材を細かく刻む
  • 水と一緒に弱火で煮込む
  • スープ状に仕上げる

ポイントは必ずスープごと与えることです。
水分摂取が最優先です。

このレシピは動物性たんぱく質中心で、尿を弱酸性に保ちやすい設計になっています。


中級:
高タンパク・低ミネラルレシピ

より筋肉量を維持したい犬や、活動量が多い犬向けの設計です。

ただし、与えすぎは禁物です。

材料(体重5kg目安)

  • ささみ 120g
  • かぼちゃ 20g
  • きゅうり 20g
  • 白米 30g
  • 水 250ml
  • 亜麻仁油 少量

ささみは低脂肪・比較的低ミネラルで扱いやすい食材です。

亜麻仁油を少量加えることで、皮膚や被毛の健康もサポートできます。

脂質バランスは炎症管理にも関係します。
ただし、脂質過多はカロリー過剰になるため注意してください。


上級:
栄養計算付きバランスレシピ

ここでは一歩踏み込んで、栄養バランスを意識した例を紹介します。
※あくまで一例です。個体差があります

■ 体重5kg・去勢済み成犬(1日約350kcal想定)

  • 鶏むね肉 110g(約180kcal)
  • 白米 50g(約85kcal)
  • キャベツ 30g(約7kcal)
  • 大根 30g(約5kcal)
  • 亜麻仁油 3g(約27kcal)
  • 水 250ml以上
  • カルシウム補助(適量)
たんぱく質:約28〜30%(乾物換算)

脂質:約12〜15%

Ca:P比:おおよそ1.3:1

ここまで設計できると理想的です。
ただし、家庭で正確に計算するのは難しいため、定期的な尿検査が前提になります


レシピ別の1週間献立例

「毎日同じでいいの?」
という疑問を持つ方も多いでしょう。

基本設計を守りつつ、食材をローテーションするのがおすすめです。

食材ローテーションの一例


月:基本レシピ(鶏むね肉)

火:ささみレシピ

水:白身魚バージョン

木:基本レシピ+かぼちゃ少量

金:ささみ+きゅうり中心

土:鶏むね肉+キャベツ多め

日:上級バランス設計日

ポイントは、

  • 常に水分をたっぷり含ませる
  • ミネラルが高い食材を連続させない
  • 週に1回は体調と尿の様子を観察する

「キラキラが出ていないか」「トイレ回数は正常か」もチェックしてください。


ストルバイトはコントロール可能な疾患です。
しかし自己流は危険です。
あなたがここまで真剣に調べていること自体が、愛犬にとって大きな安心材料です。
焦らず、検査と調整を繰り返しながら、愛犬に合ったベストな食事を見つけていきましょう。


食事管理以外の
ストルバイト予防方法

ストルバイト対策では、食事内容の見直しが中心になります。
しかし、尿の状態は食事以外の要素にも影響を受けます。

水分摂取量や排尿回数日々の生活環境なども重要なポイントです。

本章では、手作り食とあわせて意識したい「食事以外の管理方法」を具体的に解説します。


水分摂取を増やす工夫

ストルバイト予防の基本は、尿を薄めて排出量を増やすことです。
尿が濃く、膀胱内に長時間とどまると、結晶は形成されやすくなります。

「うちの子、水をあまり飲まないんです…」という声は非常に多いですが、飲水量は“工夫次第”で増やせます。

① 食事にスープを必ず加える

手作り食の強みは、水分を自然に摂らせられることです。
具材を煮たスープをそのまま加え、食事全体をひたひた~少し多めの水分量にしましょう。

目安は「ドロドロよりややサラサラ」です。

② 水の設置場所を増やす

リビングだけでなく、寝室・廊下など複数箇所に設置すると、飲水機会が増えます。
特にシニア犬や寒がりの子は、移動が面倒で飲まないケースもあります。

③ 水の種類の選び方

基本は新鮮な水道水(軟水)で問題ありません。
日本の水は比較的軟水が多く、通常はミネラル過多の心配は低いとされています。

ただし、硬水のミネラルウォーターはカルシウムやマグネシウムを多く含むため、日常的な使用は避けた方が無難です
心配な場合は地域の水質を確認しましょう。

「ぬるま湯」にすると飲水量が増える子もいます。
特に冬場は効果的です。


運動と排尿習慣の改善

ストルバイトができやすい子に共通するのが、排尿回数が少ない生活です。

長時間お留守番、寒さによる我慢、室内トイレの場所が落ち着かない
こうした環境要因も見直す必要があります。

1日3~4回以上の排尿を目安に

理想はこまめに排尿させることです。
朝晩の散歩だけでなく、可能なら昼間にも排尿機会を設けましょう。

膀胱内に長く尿をためないことが大切です

軽い運動で代謝を促す

適度な運動は血流を改善し、腎臓や膀胱の働きをサポートします。
激しい運動は不要ですが、毎日継続することが重要です。

特に肥満傾向の子は、尿路トラブルのリスクが高まる傾向があるため、体重管理もストルバイト対策の一部と考えましょう。


おやつとサプリメントの選び方

手作り食を頑張っていても、おやつで台無しになるケースは少なくありません。

「少量だから大丈夫」と思いがちですが、ミネラルバランスを崩す原因になることもあります。

おやつは“水分が多いもの”を選ぶ

おすすめは、茹でた鶏ささみを細かくほぐしてスープごと与えるなど、水分を含んだおやつです。
乾燥ジャーキーの頻繁な使用は控えめにしましょう。

ミネラル量を確認する

市販おやつを使う場合は、マグネシウムやリンの含有量を確認しましょう。
表示がない製品は避けるのが無難です。

サプリメントは慎重に

クランベリーや尿路サポート系サプリは人気がありますが、体質に合う・合わないがあります。
pHを過度に酸性に傾けると、今度は別の結石リスクが高まる可能性もあります

必ず獣医師と相談しながら導入してください。

「手作り食にしているのに、なぜ再発するの?」
その背景には、食材だけでなく生活全体のバランスが関係していることもあります

  • 排尿
  • 運動
  • おやつ管理

これらを整えることで、手作り食の効果はより安定しやすくなります。

ストルバイト管理は短距離走ではなく、長期的な生活改善です。
焦らず、愛犬の尿の状態や体調を観察しながら、一つずつ整えていきましょう。


よくある質問Q&A

ストルバイトと診断されたあと、食事についてはさまざまな疑問が出てきます。

「療法食はいつまで続けるの?」
「手作り食に切り替えてもいい?」
「再発を防ぐにはどうしたらいい?」
「費用や手間はどれくらい?」

本章では、こうした疑問をひとつずつ整理しながら、判断のヒントになる情報をまとめています。


手作り食で本当に治るの?

結論から言うと、「手作り食=必ず治る」というものではありません。

ストルバイト結晶は、尿pHのアルカリ化、マグネシウム・リンなどのミネラル量、細菌感染、水分摂取量など、複数の要因が絡み合って形成されます。

手作り食のメリットは、水分を自然に多く摂らせられること、食材をコントロールできることです。
これにより尿が薄まり、結晶ができにくい環境を整えられる可能性があります。

ただし、すでに結石が大きくなっている場合や細菌感染を伴う場合は、食事だけでの改善は難しいケースもあります。

大切なのは、「治す」というより再発しにくい体内環境を作るという視点です。


療法食との併用は可能?

「いきなり全部手作りにするのは不安」という方も多いでしょう。

結論としては、併用は可能ですが、目的を明確にすることが重要です。

併用の代表的なパターン

  • 朝は療法食、夜は手作り
  • 療法食をベースに、水分を加えてかさ増し
  • 一時的に療法食で溶解を目指し、その後手作りへ移行

注意点は、療法食の栄養設計を崩さないことです。
ミネラルを多く含む食材を追加すると、バランスが崩れる可能性があります。

獣医師に相談しながら、「溶解期なのか」「維持期なのか」を確認して進めましょう。


費用はどのくらいかかる?

費用は体重や食材によって異なりますが、目安としては以下のようになります。

  • 小型犬:1日200~400円程度
  • 中型犬:1日400~700円程度
  • 大型犬:1日800円以上

療法食と大きく変わらない場合もあれば、食材選び次第では高くなることもあります。

ただし、手作りのメリットは「食材の透明性」「調整の自由度」です。

例えば、まとめ買いや季節の食材を活用することでコストを抑えられます。
また、再発予防によって通院回数が減れば、長期的な医療費削減につながる可能性もあります。

単純な価格比較ではなく、トータルコストで考える視点が大切です。

いつ病院に行くべき?
緊急サインまとめ

手作り食を実践していると、「様子を見てもいいのかな」と迷うことがあります。

しかし、以下の症状がある場合はすぐに受診してください。

受診すべき症状

  • 何度もトイレに行くのに尿が出ない
  • 血尿が出ている
  • 排尿時に強い痛みで鳴く
  • 元気がない・嘔吐を伴う

特にオス犬は尿道が細いため、尿道閉塞のリスクがあります
完全に詰まると命に関わる緊急事態です。

また、症状がなくても定期的な尿検査は非常に重要です。
見た目ではわからない結晶が出ていることもあります。

手作り食は「自己判断で続けるもの」ではなく、獣医師と連携しながら行うケアです。

不安になるのは、それだけ愛犬を大切に思っている証拠です。

正しい知識と冷静な判断を持ちながら、食事・水分・生活習慣を整えていけば、ストルバイト管理は決して不可能ではありません。


体験談|
わが家が試した
7対策と経過

ストルバイトと診断されてから、わが家では、
「この子にとって何がいちばん良いのだろう」
と考え続ける日々が始まりました。

すぐに答えが見つかるわけではありませんでした。

かかりつけの獣医師に相談しながら、ひとつずつ試し、時間をかけて管理の形を整えていきました。

本章では、試行錯誤を重ねながら、わが家なりのバランスを見つけていった経過をまとめています。
同じように悩んでいる飼い主さんの参考になれば嬉しいです。


はじまりは小さなサイン

最初に気になったのは、トイレを失敗するようになったことでした。
それまで粗相はほとんどなかったため、「どうしたのかな?」と少し気にしつつも、深刻には考えていませんでした。

時々お腹を丸めるような姿勢をとることもあり、「お腹が痛いのかもしれない」と思い、かかりつけの動物病院を受診しました。
その際、椎間板ヘルニアの可能性もあると言われ、専門的に診ている病院を探して受診することにしました。

ちょうどその頃、トイレシートにキラキラした粒のようなものが混ざっているのが気になっていたため、あわせて尿検査もお願いしました。


検査の結果と診断

尿検査、エコー検査、そして椎間板ヘルニアの疑いもあったためレントゲン検査も受けました。

その結果、尿からストルバイト結晶が確認されました

椎間板ヘルニアについてはケージレストで経過観察、ストルバイトについては療法食での管理を勧められました。

突然の診断に戸惑いました。
特に、「これから療法食中心の生活になるかもしれない」という点には、正直なところ気持ちの整理がすぐにはつきませんでした。

そこで、獣医師に相談しながら、自分なりにできることを少しずつ試してみることにしました。

試してみた7つの対策と、その経過

① 水分摂取を増やす工夫

もともと積極的に水を飲むタイプではなかったため、まずは水分量を増やすことから始めました
ドライフードの半量を白湯でふやかし、食事から自然に水分を摂れるようにしました。

また、スープも試しましたが、単体ではあまり飲まず、フードをふやかす方法がいちばん確実でした

水分量は確実に増えましたが、この対策だけで結晶が消えることはありませんでした。
ただ、尿量が増えたことはその後の管理において無駄ではなかったと感じています。

② 運動量を見直す

排尿回数を増やす目的で、散歩の回数や時間を意識的に増やしました
ただ、もともと散歩が大好きというタイプではなかったため、大きな変化をつけることは難しく、負担にならない範囲での調整にとどまりました。

運動だけで結晶が改善することはありませんでしたが、生活リズムを整えるという意味では一定の効果があったように思います。

③ トイレの場所を見直す

わが家の愛犬は、お留守番のときにおしっこを我慢してしまう傾向がありました。

最初は精神的な理由かもしれないと思い、犬の行動療法を専門とする動物病院を受診しました。
そこで提案されたのが、トイレをケージの外に設置する方法でした。

実際に試してみると、以前よりも排尿のタイミングが増え、我慢する様子が減っていきました。

トイレ環境を変えるだけでも、排尿回数には変化が見られることを実感しました

④ ハーブを試してみた時期

体質改善を期待して、ハーブに詳しい知人に相談し、ダンデライオンネトルなどを調合してもらいました

一定期間続けましたが、ハーブのみで結晶が消えることはありませんでした

体調に大きな変化は見られなかったため、最終的には主軸にはしませんでした。

⑤ 市販の尿石ケアフードへの切り替え

動物病院の療法食で一度陰性になったあと、獣医師に相談しながら、尿路結石に配慮された市販フードへの移行も試しました。
栄養基準を満たしている総合栄養食を選び、水分摂取や運動と併用しました。

しかし、しばらくして再びストルバイト結晶が確認されました
この経験から、わが家の場合は市販フード単体での管理は難しいと判断しました。

⑥ 動物病院の療法食での管理

最終的に、動物病院で処方された療法食を中心に管理することを受け入れました。
いくつか試した中から、粒の大きさや食いつきの様子を見て選択しました。

その結果、尿検査でストルバイト結晶は陰性に戻りました。
わが家では、療法食によるpHコントロールがもっとも安定した結果につながりました

⑦ 手作り食を取り入れる

愛犬がストルバイトと診断されたことをきっかけに、あらためて食事について考えるようになりました。
それまでドライフード中心の食事に大きな疑問を持ったことはありませんでしたが、療法食のみでの管理が始まると、原材料表示をじっくり読むようになりました。

療法食の成分設計や役割は理解しつつも、
「良質なタンパク源も取り入れてあげたい」
「食事の時間を楽しみのひとつとして感じてほしい」

という気持ちが少しずつ芽生えていきました。

そこで、かかりつけの獣医師に相談し、手作り食のメリットとリスクの両方について説明を受けました。
自己判断で切り替えるのではなく、書籍や講座で基礎を学びながら、慎重に取り入れることにしました

食事内容を変更した際は、2週間ごとの尿検査で尿pHや結晶の有無を確認しました
その結果、わが家では療法食を軸にしながら、1/2〜1/4量を手作り食に置き換える形がちょうどよいバランスだと感じました。

わが家の食事例

  • 朝:ドライフード+白湯でふやかしたフード、または少量の手作り食
  • 夕:ドライフード+手作り食


タンパク源には鶏肉、卵、鮭などを使用し、水分をしっかり含ませたおじや風に調理しました。

完全に切り替えるのではなく、療法食と併用する形にしたことで、尿検査の数値は安定したまま維持できています。
わが家では「療法食を基本に、手作り食を補助的に加える」方法が合っていました。


振り返って感じていること

水分摂取、運動、ハーブ、市販フード、療法食、手作り食と、さまざまな方法を試しましたが、単独で劇的に改善した対策はありませんでした。

わが家の場合は、療法食で尿検査の結果を安定させたうえで、生活全体を整え、慎重に手作り食を取り入れる方法が合っていました。

ストルバイトの管理方法は、愛犬の体質や既往歴、感染の有無によっても異なります。
今回の記録はあくまで一家庭の経過です。
もし同じように悩んでいる方がいらっしゃれば、自己判断だけで進めず、必ず獣医師と相談しながら方針を決めていただければと思います。

遠回りに感じた時期もありましたが、その経験があったからこそ、今は落ち着いて管理できています。


まとめ|
ストルバイトと
向き合うために大切なこと

ここまで、ストルバイトの基礎知識から、食事との関係、療法食と手作り食の違い、そしてわが家の体験までをお伝えしてきました。
最後に、ストルバイトと向き合ううえで大切だと感じるポイントを整理します。

  • 手作り食=必ず治るではない(目的は“再発しにくい体内環境づくり”)
  • 尿pHを数値で管理することが最重要(目安は6.0〜6.5)
  • 水分摂取量の確保が結石予防の鍵(スープ状の食事が有効)
  • マグネシウム・リンの過剰摂取に注意(野菜中心にしすぎない)
  • 間食・おやつも含めてトータルで管理する
  • 自己判断せず、定期的な尿検査を続ける
  • 療法食と手作り食は対立ではなく「段階的活用」も選択肢
  • 尿が出ない・血尿などの症状はすぐ受診

ストルバイトは決して珍しい病気ではありませんが、正しい知識と継続的な管理があればコントロールできるケースが多いです。

大切なのは、「焦らず・データで判断し・愛犬の様子をよく観察すること」です。
あなたの選択が、愛犬の未来を守る力になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

📚<主な参考文献>

  • 石田卓夫(監修).(2018).『犬と猫の治療ガイド 2018』.インターズー.
  • 日本獣医師会.(随時更新).『日本獣医師会雑誌』.日本獣医師会.
  • 日本獣医内科学アカデミー(編).(2019).『小動物内科学 第3版』.文永堂出版.
  • 日本ペット栄養学会.(随時更新).『ペット栄養学会誌』.日本ペット栄養学会.
  • 林 俊春・他(編).(2017).『小動物臨床栄養学 第2版』.学窓社.

※本記事は、公開されている獣医学文献および専門情報を参考に再構成した内容です。体質や病状には個体差があるため、食事内容や治療方針の変更については、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。

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