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手作りわんごはん

犬の脂漏症が治らない原因は“食事”?再発を防ぐ手作りご飯の極意

愛犬の脂漏症、なかなか治らない、「薬で一時的に落ち着いても、またベタつきやニオイが戻ってくる…」、そんな経験をしていませんか?

実は、皮膚トラブルを繰り返す犬の多くは“食事の中身”が根本原因になっています。
特に手作りご飯に切り替えた飼い主さんの中には、「健康のために始めたのに、逆に悪化した気がする」という声も少なくありません。

なぜ、同じ“手作りご飯”でも結果がこんなに違うのでしょうか?
本記事では、脂漏症の改善を妨げる落とし穴と、実際に回復を目指せる手作りご飯の考え方について徹底解説します。

「うちの子には何を食べさせたらいいの?」と悩むあなたが、今すぐ実践できる“再発させないための食事戦略”をお伝えします。

なぜ“脂漏症”になるの?
手作りご飯を始める前に
知ること

「愛犬の体から脂っぽいにおいがする」「皮膚がベタついて毛が抜けやすい」「かゆがって夜も眠れない」、そんな症状を見て「もしかして脂漏症かも?」と不安になっていませんか?
最近では、ドッグフードをやめて、手作りご飯で改善を目指す方も増えているようです。

しかし、脂漏症の原因は単純ではありません。
食事の内容だけでなく、犬の体質、ホルモンバランス、皮膚の代謝機能など、さまざまな要因が関係しています。
手作りご飯を始める前に、まず「なぜ脂漏症になるのか」を正しく理解することが、再発を防ぎ、根本的な改善につながる第一歩です。

脂漏症とは

脂漏症とは、犬の皮膚にある「皮脂腺」が過剰に皮脂を分泌してしまい、皮膚のバリア機能が崩れることで発生する皮膚疾患です。
皮膚がベタつく、フケが増える、体臭が強くなる、かゆみが出るなどの症状が見られます。

特に脂漏症には、皮脂が多くてベタベタする「脂性タイプ」と、乾燥してフケが出やすい「乾性タイプ」の2種類があります。
いずれも皮脂バランスが崩れている点が共通で、犬によっては両方が混在する「混合タイプ」もあります。

皮脂の過剰分泌は、栄養の偏り(特に脂肪酸やビタミン不足)、腸内環境の乱れ、ホルモン異常、ストレスなどが関係して起こります。
つまり、外側からシャンプーで洗っても一時的な改善にしかならず、「体の中から整える」ケアが必要なのです。

「続発性脂漏症」と
「原発性脂漏症」の違い

実は、脂漏症には大きく分けて2つのタイプがあります。それが「続発性脂漏症」と「原発性脂漏症」です。
これを理解していないと、間違った手作りご飯で逆効果になることもあります。

・続発性脂漏症とは

他の病気や環境要因が原因で起こるタイプです。
代表的な原因には、アレルギー性皮膚炎、甲状腺機能低下症、マラセチア皮膚炎、寄生虫、腸炎などがあります。
これらの疾患が引き金となり、皮脂バランスが崩れて脂漏症が発生します。

このタイプでは、まず「原因となる病気」を治療しなければ、手作りご飯だけでの改善は難しいでしょう
病院で血液検査や皮膚検査を行い、根本原因を特定することが第一です。

・原発性脂漏症とは

一方で、遺伝や体質的な要因によって皮脂分泌が過剰になるタイプが「原発性脂漏症」です。
特定の犬種(シー・ズー、コッカー・スパニエル、柴犬など)に多く見られます。
こちらは完治が難しく、長期的な体質改善が必要です。

このタイプの犬では、手作りご飯による「脂質バランスの最適化」「抗炎症栄養素の補給」「腸内環境の安定化」が非常に有効です。つまり、食事の力で症状をコントロールしていくことができます。

犬の脂漏症は
手作りご飯で治るの?

愛犬が脂漏症の飼い主さんは、「ドッグフードをやめたら治る?」「手作り食って本当に効果あるの?」と疑問を持つかもしれません。
答えは、「正しく作れば改善のサポートになるが、間違えると悪化することもある」です。

例えば、脂質を怖がって極端に減らしたり、肉中心でビタミンやミネラルを軽視すると、皮膚の修復に必要な栄養が不足します。
逆に、オイルを加えすぎると酸化脂質が皮膚に炎症を起こすこともあります。

手作りご飯を始めるときは、まず次の3つのポイントを押さえましょう。

3つのポイント

  • 獣医師に皮膚検査を依頼し、病気の有無を確認する
  • 犬種・年齢・体重・活動量に合わせてカロリーを設定する
  • 「抗酸化食材」と「オメガ3脂肪酸」を意識的に取り入れる

手作りご飯は「体質改善のサポート食」。治療ではなく、体の内側から皮膚を強くし、再発しにくいコンディションを整えるためのものです。
焦らず、少しずつ愛犬の体調の変化を観察しながら進めていきましょう。


手作りご飯で
脂漏症を改善するための
必須栄養と食材選び

犬の脂漏症(しろうしょう)は、薬用シャンプーで一時的に症状を抑えることはできますが、根本的な改善には「内側からのケア」——つまり食事の見直しが欠かせません。
本章では、脂漏症改善に欠かせない栄養素と、手作りご飯で意識したい食材選び、さらに「ここだけの工夫」まで詳しく解説します。

皮膚・被毛ケアに必要な栄養素

脂漏症の犬にとって、皮膚のターンオーバーを整え、炎症を抑えるための栄養バランスが重要です。 とくに意識したいのが以下の栄養素です。

大事な栄養素

  • オメガ3脂肪酸(EPA・DHA):青魚(サーモン、イワシ、サバ)や亜麻仁油に多く含まれ、皮膚の炎症を抑える働きがあります。脂漏症によるかゆみや赤みの軽減にも効果的です。
  • 亜鉛:皮膚の再生に不可欠なミネラル。不足するとフケや脱毛が起こりやすくなります。鶏レバー、卵黄、牛赤身肉、かぼちゃの種などに含まれます。
  • ビタミンA:皮膚粘膜の健康維持に関与。にんじん、かぼちゃ、レバーに豊富です。
  • ビタミンE:抗酸化作用により、皮膚細胞の老化を防ぎます。アーモンド粉、植物油(特にひまわり油)に含まれます。
  • ビタミンB群:皮脂分泌を正常に保つ働きがあります。特にビタミンB6は鶏むね肉やバナナに多く含まれます。

これらの栄養を過不足なく摂ることが、皮脂バランスの安定につながります。
手作りご飯では、「動物性たんぱく質:野菜:炭水化物=5:3:2」程度の比率を意識すると、皮膚に負担をかけない栄養バランスがとりやすくなります。

避けるべき食材・添加物

脂漏症の犬にとって、「与えない方がいい食材・添加物」を避けることも改善の鍵です。 特に注意したいのが以下のポイントです。

注意するポイント

  • 酸化した油脂:時間が経ったドッグフードや調理済みの油は、酸化して皮脂腺を刺激します。古いフードや揚げ物は避けましょう。
  • 過剰な脂肪分:高脂肪な肉(豚バラ・牛バラなど)は皮脂分泌を促進します。鶏むね肉や白身魚など、脂肪の少ないたんぱく源を選ぶのが理想です。
  • 人工添加物(香料・保存料・着色料):腸内環境を乱し、免疫反応を悪化させる可能性があります。特に安価なドッグフードには要注意です。
  • 乳製品・小麦・トウモロコシ:アレルギー体質の犬では、皮膚炎を悪化させることがあります。脂漏症を繰り返す犬は一度除去して様子を見ましょう。

「脂漏症=皮脂の問題」と思われがちですが、実際は腸内環境の乱れや酸化ストレスも深く関わっています。
抗酸化食材(ブルーベリー、ブロッコリー、トマトなど)をうまく取り入れると、内側から皮膚の回復をサポートできます。

脂漏症対応のために
「食材ローテーション」+「水分量」調整

多くの飼い主さんが見落としがちなポイントが、「同じ食材を毎日続けないこと」と「水分量の管理」です。
これは実際に動物栄養士が推奨する、脂漏症ケアに効果的な方法でもあります。

① 食材ローテーションでアレルギー・負担を防ぐ

毎日同じたんぱく源(例:鶏肉ばかり)を与えていると、アレルギー反応や脂質代謝の偏りが起こりやすくなります。
魚・鹿肉・豆腐などを週ごとにローテーションさせることで、体内の炎症負担を減らし、栄養バランスをより自然に保てます。

② 水分量を増やして代謝と排出をサポート

脂漏症の犬は皮脂の代謝がうまくいかないため、老廃物が体内に溜まりやすい傾向があります。
スープ仕立ての手作りご飯や、煮汁を少し加えることで水分摂取量を自然に増やせます。
とくに鶏の出汁や野菜スープは、香りで食欲を引き出しながら皮膚の代謝も助けてくれる優秀なサポート食です。

さらに、「水分+オメガ3脂肪酸」の組み合わせは、皮膚のバリア機能を整え、乾燥性脂漏・油性脂漏の両方に効果を発揮します。
「皮膚を外から洗う」よりも「内側から潤す」発想が、手作りご飯での脂漏症ケアの核心です。

栄養の偏りを避け、炎症を鎮め、体の循環を整える手作りご飯が、脂漏症改善の最短ルートだよ。


実践!手作りご飯レシピ&
日常ケアで脂漏症を抑える

「犬の脂漏症に手作りご飯がいい」と聞いても、実際に何をどれくらい与えればいいのか?と迷う飼い主さんは多いでしょう。
脂漏症は、食事の栄養バランスだけでなく、皮膚の清潔さや生活環境の影響も大きく、“食事+日常ケア”の両立が改善の鍵です。

本章では、脂漏症ケア向け手作りご飯のレシピを3パターンご紹介します。どれも栄養バランスが取りやすく、炎症を抑えながら皮膚の修復を助けてくれます。
さらに、毎日のケアで効果を高める方法、そして飼い主さんが抱くよくある疑問にお答えします。

脂漏症の犬におすすめの
手作りご飯レシピ3選

①【魚中心】オメガ3で皮膚を整えるご飯

目的:皮膚の炎症を抑え、脂漏症のベタつきやかゆみを軽減

材料(体重5kgの犬・1食分)

  • 生鮭または鱈(骨・皮を除く)…40g
  • 白米または雑穀ご飯…30g
  • ブロッコリー…20g
  • かぼちゃ…20g
  • 亜麻仁油…小さじ1/4
  • 水…100ml

作り方

  1. 魚は茹でるか蒸してしっかり火を通す。
  2. 野菜は柔らかく茹でて刻む。
  3. ご飯と混ぜ、最後に亜麻仁油を加える(※熱い状態で油を入れない)。

ポイント

  • 鮭や鱈はオメガ3脂肪酸が豊富で、皮膚の炎症を抑える作用があります。
  • 週2~3回程度を目安に、ほかのたんぱく源とローテーションしましょう。

②【白身肉中心】低脂質・高たんぱくで代謝サポートご飯

目的:皮脂分泌を抑え、毛艶をキープ

材料(体重5kgの犬・1食分)

  • 鶏むね肉(皮なし)…50g
  • サツマイモ…30g
  • 小松菜…15g
  • すりごま(黒)…少々
  • 水…100ml

作り方

  1. 鶏むね肉は茹でて細かく裂く。
  2. サツマイモと小松菜を柔らかく煮る。
  3. すべてを混ぜ合わせて完成。

ポイント

  • 鶏むね肉は低脂質で消化が良く、アミノ酸バランスも◎。
  • ごまには抗酸化作用があり、皮膚トラブルの再発防止に役立ちます。

③【低アレルゲン】アレルギー併発型脂漏症向け

目的:原因不明の脂漏やかゆみに悩む犬向け

材料(体重5kgの犬・1食分)

  • 馬肉(赤身)…40g
  • 炊いたキヌアまたは白米…30g
  • にんじん…20g
  • ズッキーニ…15g
  • ココナッツオイル…小さじ1/4
  • 水…100ml

作り方

  1. 馬肉は茹でて脂を落とす。
  2. 野菜を柔らかく煮て細かく刻む。
  3. 全てを混ぜ、最後にココナッツオイルを加える。

ポイント

  • 馬肉はアレルギーになりにくい良質なたんぱく源。
  • ココナッツオイルの中鎖脂肪酸は皮脂のバランスを整える働きがあります。

調理の基本ルール

  • 油は調理後に加える(酸化防止・栄養保持のため)。
  • 塩分・調味料は一切不要
  • 食材は必ず加熱し、消化を助けるために細かく刻む
  • 初めて与える食材は少量から様子を見る


日常ケアと併用して
効果を上げる法

脂漏症は、食事だけでなく皮膚の外側のケアも欠かせません。
とくに「ベタつき」「ニオイ」「かゆみ」が強い犬ほど、生活環境の見直しが改善を早めます。

  • シャンプー頻度:2〜3日に1回の薬用シャンプーで皮脂を落とし、乾燥タイプの場合は週1回に減らして保湿ケアを重視。
  • 保湿ケア:入浴後はタオルドライ後、犬用の保湿スプレー(セラミド配合)を使用。乾燥によるフケを防ぎます。
  • 環境湿度:冬やエアコンの時期は湿度40〜60%をキープ。加湿器や濡れタオルを利用すると◎。

また、皮膚に炎症が強く出ている場合は、無理に洗うよりも動物病院で皮膚検査を行い、治療と併行してケアを進めるのが安全です。

Q&A

Q. 手作りご飯だけでOK?ドライフードは捨てるべき?

完全手作りに切り替える必要はありません。 ドライフードをベースに、手作りご飯を「トッピング」として併用する方法でも十分効果があります。
ただし、原材料にトウモロコシ・小麦・動物性油脂が多いフードは、脂漏症を悪化させる場合があるため避けましょう。

Q. 体重が減ってきた時はどうする?

脂漏症ケアご飯は低脂肪になりがちなため、痩せやすい犬もいます。
その場合は、良質な脂質(サーモンオイルやMCTオイル)を少量追加することで健康的に体重を維持できます。 「減った体重=改善」とは限らないので、週1回の体重チェックを習慣にしましょう。

Q. 何週間で改善を実感できる?

個体差がありますが、早い犬で2〜3週間、多くは1〜2ヶ月で被毛のツヤや臭いの変化を感じ始めます。
皮膚のターンオーバー周期(約28日)を考えると、最低でも1ヶ月は継続して様子をみるのがポイントです。
焦らず、「食べて・出して・整える」のサイクルを意識することが、再発しにくい体づくりにつながります。

— 脂漏症のケアは「一時的な治療」ではなく、日々の食事とケアの積み重ねです。 今日からできる工夫を取り入れながら、愛犬の皮膚が本来の健やかさを取り戻す過程を楽しんでいきましょう。


再発させないための
ポイント

脂漏症は「治った!」と思っても、再発しやすい厄介な皮膚トラブルです。
実際、手作りご飯で一時的に改善しても、数週間〜数ヶ月後に再発してしまうケースは少なくありません。

本章では、犬種・年齢・季節・ストレスといった“再発の隠れ要因”に注目し、手作りご飯と合わせて行うべきケアのコツを詳しく解説します。
もう繰り返さないために、是非読み進めていただきたい内容です。

体質・犬種・年齢によるケア差異

脂漏症は「同じ病名」でも、犬種や年齢によって原因とケア方法がまったく違うことを知っていますか?
ここでは代表的なタイプ別に解説します。

● ミニチュア・シュナウザー:皮脂分泌過多タイプ

シュナウザーはもともと皮脂腺が活発で、脂性タイプの脂漏症になりやすい犬種です。
動物性脂肪の摂りすぎがトラブルを悪化させるため、手作りご飯では「サーモンオイル」や「亜麻仁油」など、良質なオメガ3脂肪酸を少量取り入れるのがおすすめ。
タンパク源は鶏むね肉や白身魚など低脂肪のものを中心にしましょう。

● 柴犬:乾燥+アレルギー併発タイプ

柴犬は乾燥肌やアレルギー体質を持つ子が多く、皮脂不足やフケが原因で脂漏症を発症しやすい傾向があります。
手作りご飯では、オメガ3とともにビタミンE・亜鉛を含む食材(かぼちゃ・ブロッコリー・レバーなど)をバランスよく摂取させましょう。
さらに、乾燥季節には食事に少量のごま油を加えると、皮膚の保湿サポートになります。

● 老犬:代謝低下+免疫力低下タイプ

シニア犬では新陳代謝が落ちるため、皮脂のターンオーバーが遅くなり、菌や炎症が残りやすい状態に。
そのため、手作りご飯では「抗酸化」「消化の良さ」「たんぱく質の質」を意識することが重要です。
鶏ささみ・白身魚・豆腐・温野菜を組み合わせ、消化器に負担をかけないレシピを継続すると効果的です。

季節・体調・ストレスが
皮膚に与える影響と対策

脂漏症は、季節や環境によって大きく悪化・改善が左右される“デリケートな疾患”です。
とくに気温・湿度・紫外線・ストレスなどが皮膚に与える影響は軽視できません。

  • 湿度(梅雨・夏):ジメジメした環境では菌が繁殖しやすく、皮脂の酸化が進みます。室内は湿度50%前後をキープし、毎日のブラッシングで通気性を確保。
  • 紫外線(春〜秋):紫外線は皮膚のバリア機能を弱め、かゆみや炎症を誘発します。散歩は早朝や夕方を選び、帰宅後はぬるま湯で足や腹部を軽く洗い流しましょう。
  • 運動とストレス:ストレスはホルモンバランスを崩し、皮脂分泌を過剰にさせることがあります。軽い運動や遊びを毎日取り入れ、「リラックス時間」をつくることが再発防止につながります。

つまり、脂漏症のコントロールには「皮膚ケア+メンタルケア」の両立が欠かせません。
食事で内側から整えるだけでなく、日々の環境を整えることが「再発を防ぐ隠れたポイント」です。

手作りご飯+モニタリングで
ケアを可視化する

脂漏症の改善は、一日ではわかりません。
しかし、「見える化」=モニタリングを取り入れることで、改善の兆しを早期に発見し、再発予防にもつながります。

● 写真で皮膚の変化を記録

週に1回、同じ明るさ・角度で愛犬の「耳・首・背中・お腹」を撮影しましょう。
1ヶ月も続けると、「被毛のツヤ」「皮膚の赤み」「フケの量」の違いが一目瞭然になります。
これにより、手作りご飯やケアの効果が客観的に確認できます。

● 体重と体脂肪の変動をチェック

脂漏症ケア中は食事バランスが変化するため、体重管理も重要です。 急な体重減少は栄養不足、増加は脂質過多のサインです。
週1回の測定を習慣化し、変化が見られたらレシピを微調整しましょう。

● 被毛と臭いのチェックリストを作る

被毛のベタつき・臭い・かゆみの頻度を日記形式で記録するのもおすすめ。
これにより、「どの食材で改善・悪化したか」が明確になり、次回以降の食事調整に役立ちます。

モニタリングを続けることで、飼い主自身もケアの上達を実感でき、 「脂漏症をコントロールできている」という自信にもつながります。 この“可視化”こそが、再発を防ぐ最大の武器です。

―― 犬の脂漏症は、食事だけではなく「ライフスタイル全体の調整」が成功のカギ。 手作りご飯を続けながら、季節・体質・メンタルを観察し、変化を楽しむ気持ちで取り組むことが、再発を遠ざける最も確実な方法です。

獣医師・栄養士に
相談すべきケースと
手作りご飯適用時の注意点

犬の脂漏症は、皮脂の分泌異常が関係する慢性皮膚トラブルです。
手作りご飯によって改善するケースも多い一方、症状が進行している場合や体質が関係している場合には、獣医師・ペット栄養士の専門的なサポートが欠かせません。

本章では「自己判断で悪化させないために」知っておきたい、相談すべきタイミングと注意点をまとめます。

改善が見られない・急変した時の対処基準

手作り食を始めてから2〜3週間経っても皮膚のベタつき・赤み・フケが悪化している場合は、早めに獣医師に相談しましょう。
脂漏症は「原発性」と「続発性」があり、後者はホルモン疾患(甲状腺機能低下症・クッシング症候群など)やアレルギーが原因のケースもあります。根本疾患を見逃したまま食事だけで対処しようとすると、症状が長期化・重症化するリスクがあります。

また、以下のような変化も注意信号です。

注意信号

  • 被毛の臭いが急に強くなった
  • 皮膚に黄色いかさぶたや膿が出ている
  • かゆみで眠れない・食欲が落ちている
  • 急に体重が減る・元気がない

これらは感染や栄養バランスの乱れが関係している可能性があります。
自己判断で食材を変えすぎず、必ず皮膚科に強い動物病院で診察を受けてください。

手作り食に切り替える際の「栄養過不足」チェックリスト

脂漏症の犬では、脂質・ビタミン・ミネラルのバランスが崩れると皮膚環境の悪化を招きやすくなります。
以下のチェックリストを基準に、栄養士監修レシピを参考にするのがおすすめです。

栄養バランス・チェックリスト

  • タンパク質源は複数使っている(鶏・白身魚・卵 など)
  • オメガ3脂肪酸(サーモン・亜麻仁油など)を適量含む
  • 亜鉛・ビタミンA・Eなど、皮膚代謝に必要な微量栄養素を意識
  • 塩分・糖分・加工食品・酸化油を避けている
  • カロリー計算をして体重の増減を確認している
  • 水分摂取をしっかり管理している(スープや煮汁などで補う)

これらの項目を満たしていない場合、脂漏症が改善しない・再発しやすい原因となることがあります。
もし自信がない場合は、ペット栄養士が監修する手作りご飯サポートサービスや、栄養設計ができる獣医師への相談を検討しましょう。


動物病院で必ず確認したいこと

脂漏症の改善を目指す上で、食事だけでは見えない「隠れた原因」を明らかにすることが重要です。
動物病院では、以下の検査を行うことで、正確なアプローチ方針が立てられます。

🩺 動物病院で確認すべき検査一覧

  • 皮膚検査(細胞診):細菌・マラセチア・脂分泌異常の有無を確認
  • 真菌検査:感染症によるフケ・かゆみの可能性を除外
  • アレルギー検査(IgE):特定の食材や環境アレルゲンを特定
  • 血液検査:ホルモン異常・肝機能・腎機能などをチェック
  • 体脂肪スキャン/体組成測定:慢性的な代謝異常を確認

これらを実施することで、単なる脂漏ではなく内科的な問題が背景にあるかどうかを判断できます。
とくに「手作りご飯に変えたけど改善しない」という場合は、根本原因が食事以外にある可能性を見逃さないようにすることが大切です。

脂漏症のケアは、食事・環境・体質の三方向から見直すことが重要だよ。


まとめ

脂漏症の犬に手作りご飯を与えることは、皮膚の健康を内側から支える大切なケア方法です。
しかし、「正しい知識」と「専門家のサポート」がないまま自己流で続けると、改善しないどころか悪化してしまうこともあります。
最後に、この記事全体の重要ポイントを整理してまとめます。

脂漏症の基本を理解する

  • 脂漏症は皮脂の分泌バランスが崩れて皮膚環境が乱れる病気です。
  • 「原発性(体質性)」と「続発性(他の病気が原因)」があり、続発性はホルモン異常やアレルギーと関係することもあります。
  • 食事改善だけでなく、根本原因の特定が重要です。

手作りご飯での改善ポイント

  • 手作り食は「内側から皮膚を整える」有効なアプローチです。
  • オメガ3脂肪酸・亜鉛・ビタミンA・Eなど、皮膚代謝に関わる栄養素をしっかり補いましょう。
  • 魚中心・白身中心・低アレルゲンなど、愛犬の体質に合わせたレシピ構成が大切です。
  • 脂の酸化を防ぐ・添加物を避けることが皮脂バランス維持のカギです。
  • 水分摂取を意識し、スープ・煮汁で水分量を増やすと皮膚の乾燥を防ぎましょう。

栄養・安全面で気をつけること

  • 「栄養バランス・チェックリスト」で過不足がないか確認しましょう。
  • タンパク質源を1種類に固定せず、ローテーションで免疫負担を軽減しましょう。
  • 自作レシピに不安がある場合は、獣医師・ペット栄養士監修レシピを利用しましょう。
  • 急激な体重変化・食欲不振・皮膚の悪化が見られたらすぐに動物病院へ相談しましょう。

動物病院での検査・相談が必要なケース

  • 手作り食を始めても2〜3週間改善が見られない場合は受診しましょう。
  • 皮膚検査・真菌検査・アレルギー検査で原因を特定することが重要です。
  • 内臓疾患やホルモン異常が隠れている場合もあるため、血液検査やホルモン検査が推奨されます。
  • 食事改善と並行して、皮膚治療・外用ケア・シャンプー管理を行うとより効果的です。

再発を防ぐ“モニタリング”習慣

  • 皮膚や被毛の写真を週1回撮影して変化を可視化しましょう。
  • 体重・便の状態・食欲・臭いなどを記録し、食事内容と比較して調整しましょう。
  • 季節ごとの変化(湿度・紫外線・温度)に応じて食材や脂質量を微調整しましょう。
  • ストレス・運動不足・シャンプー頻度の乱れも脂漏再発の原因になるため、生活全体のバランスを整えましょう。

一人で抱えず「チームケア」で

  • 脂漏症ケアは「手作りご飯だけ」で完結しません。
  • 食事・環境・体質の3つを見ながら、獣医師+栄養士+飼い主のチームケアで進めるのが最善。
  • 専門家と連携しながら、無理なく継続できるスタイルを見つけることが、愛犬の皮膚を守るいちばんの近道です。

「手作りご飯」は“魔法の治療法”ではありません。
けれども、正しい知識と観察力を持てば、愛犬の皮膚は必ず応えてくれます。
栄養・検査・記録、この3本柱を意識して、脂漏症を“再発させない”食とケアを続けていきましょう。

皆さまの愛犬が、健やかに過ごされることを願っています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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