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老犬の急性膵炎― 症状から回復まで、わが家の体験ブログ ―

当時13歳だったわが家の愛犬が急性膵炎になったとき、最初に気になったのは「ご飯の後にじっとしていることが多い」という様子でした。
「どこか痛いのかな?」と思い受診したところ、検査の結果、急性膵炎の疑いがあると診断されました

すぐに治療を開始してもらい、幸い元通り元気な状態に回復しました。

しかし、半年後に再発しました。
このときは大量の嘔吐と食欲不振から始まりました。
もともと胃腸が弱く胃腸炎を起こすことは珍しくありませんでしたが、今回は「いつもと違う」と直感し、すぐに動物病院へ連れて行きました。

適切な診断と治療のおかげで再び回復しましたが、初めて聞く病気に戸惑いながらも、心の中では「また元気な愛犬に戻ってくれるだろうか」という不安と、「まだ元気でいてほしい」という祈るような思いで過ごしていました。

本記事では、一般的な情報に加え、わが家の経験や判断の経緯、再発後の生活についても正直にお伝えします。

老犬の急性膵炎|
まず知っておきたいこと

愛犬が突然体調を崩し、急性膵炎と診断されたばかりの飼い主さんは、不安な時間を過ごしていることでしょう。

急性膵炎という言葉は聞いたことがあっても、実際に老犬が発症すると、
「なぜ急に?」
「この年齢で治るの?」
「もっと早く気づけたのでは?」

と、次々に疑問や後悔が押し寄せてきます。

本章では、老犬の急性膵炎についてまず飼い主が知っておきたい基本的な考え方と、若い犬との違い、そして実体験から得た気づきを交えながら解説します。


急性膵炎とは|
老犬に起こりやすい病気

急性膵炎とは、消化酵素を分泌する「膵臓」が炎症を起こし、本来は腸で働くはずの酵素が膵臓自身を傷つけてしまう病気です。

犬では、突然の嘔吐・食欲不振・元気消失などをきっかけに発覚することが多く、症状の強さには個体差があります。

老犬の特徴

  • 体の回復力が若い頃より低下している
  • 慢性疾患を併発していることが多い
  • 症状が典型的でないケースがある


老犬では、「軽そうに見えて実は進行している」ことも少なくありません。


老犬の急性膵炎は、単なる胃腸トラブルとは別物として考える必要があります。


若い犬と老犬で違う
症状の出方

若い犬では、激しい嘔吐や明確な痛みが出ることがありますが、老犬では症状が曖昧なこともあります。

老犬特有の症状

  • 食欲が少し落ちただけに見える
  • 嘔吐が1〜2回で止まる
  • 寝ている時間が増えただけに感じる


これらが急性膵炎の初期サインであることもあります。


〜 わが家の体験談 〜
「いつもと違う」と直感したあの日

当時13歳だったわが家の愛犬が急性膵炎になったとき、最初に気になったのは「ご飯の後にじっとしていることが多い」という様子でした。

「どこか痛いのかな?」
と思い受診したところ、検査の結果、急性膵炎の疑いがあると診断されました。

再発のときは、大量の嘔吐と食欲不振から始まりました。
もともと胃腸が弱く、嘔吐することは珍しくありませんでしたが、今回は「いつもと違う」と直感し、すぐに動物病院へ連れて行きました。

受診前は、まさか膵炎だとは思っていませんでした。
初めて聞く病名に戸惑いながらも、心の中では
「また元気な愛犬に戻ってくれるだろうか」
「まだ元気でいてほしい」
と強く願っていたことを、今でもよく覚えています。


老犬の急性膵炎|
症状と受診の目安

老犬と暮らす飼い主さんにとって、「この症状、今すぐ病院に行くべきか、それとも様子を見てよいものか」という判断はとても難しいのではないでしょうか。

老犬の場合、体調の変化がゆっくり・分かりにくく現れることが多く、緊急性の見極めが非常に難しいのが現実です。

本章では、老犬の急性膵炎で多い症状と、様子見の限界ライン、そして実際に病院へ行く決断につながった判断軸についてまとめました。


受診のタイミング

急性膵炎でよく知られている症状には、嘔吐・食欲不振・元気消失があります。

ただし、これらは一時的な消化不良や軽い体調不良でも見られるため、「もう少し様子を見よう」と判断してしまいがちです。

受診のタイミング

  • 嘔吐が1日に複数回、または翌日も続く
  • 半日〜1日以上、ほとんど食べない
  • 水をあまり飲まない
  • 寝てばかりで反応が鈍い
  • お腹を触られるのを嫌がる、
    丸まって動かない

これらが重なって見られる場合、様子見の範囲を超えている可能性があります。

急性膵炎は時間とともに悪化することがあり、特に老犬では「もう少し様子を見よう」という判断がリスクになることも少なくありません。

「迷ったときは受診する」
これは決して過剰な判断ではありません。


老犬特有の「分かりにくい異変」

老犬の急性膵炎が見逃されやすい理由のひとつに、症状が老化と重なって見える点があります。

寝ている時間が増えた、散歩に行きたがらない日がある、食べるスピードが遅くなったなどの変化は、加齢によるものと判断されやすいからです。

しかし実際には、急性膵炎の初期段階では「いつもと少し違う状態」が数日続く形で現れることもあります。

老犬では激しい嘔吐や強い痛みが出ないまま進行するケースもあるため、年のせいと片付けず、変化が続いていないかを見る視点が重要です。


〜 わが家の体験談 〜
受診を決めた理由

わが家の場合、「いつもと違う」という感覚が受診のきっかけでした

初発の受診

最初に気になったのは、「食後にじっとしていることが多い」という様子でした。
もともと胆泥症の持病があったため、症状が悪化しているのかと思い、念のため受診したのです。

元気で食欲もあったので、急を要する状況ではないだろうと、その時は思っていました。

再発の受診

再発のときは突然の大量嘔吐から始まりました
昨夜まで元気で食欲もあったのに、朝にはトイレシートの半分近くを嘔吐してしまったのです。

胃腸炎のときとは明らかに様子が違ったため、「もう少し様子を見よう」という選択肢はなく、すぐに動物病院へ連れて行きました。

人間でも「沈黙の臓器」と言われる膵臓。
この経験を通して強く感じたのは、老犬の急性膵炎は「いつもの不調」とは違い、わずかな違和感から始まることがあるということです。

老犬は不調を大きく訴えません。
ですが、長年一緒に暮らしてきた飼い主だからこそ感じる、「何かおかしい」という感覚は、意外と当たっているものです。


老犬の急性膵炎|
検査と数値の見方

老犬が急性膵炎と診断された、あるいは疑いがあると言われたとき、多くの飼い主さんが戸惑うのが「検査結果の見方」ではないでしょうか。

血液検査の数値やエコー検査の所見を説明されても、
「結局、重いの?軽いの?」
「今すぐ危険なの?」

と不安が残ることも少なくありません。

特に老犬の場合、加齢による変化や持病の影響で、検査結果が分かりにくくなることがあります。

本章では、老犬の急性膵炎で実際によく行われる検査と、その数値をどう受け止めればいいのかを、一般的な情報を中心に、我が家の体験も交えながら解説します。


血液検査で見られる
代表的な項目

急性膵炎が疑われた場合、まず行われることが多いのが血液検査です。
その中でも特に重要視されるのが”PLI(膵特異的リパーゼ)”CRP(炎症反応です。

PLICRPが示すことと、読み取り方おポイントを以下にまとめました。

PLI (膵特異的リパーゼ)

<数値が示すこと>

  • 膵臓の炎症が強くなると上昇しやすい数値
  • 急性膵炎の診断補助として広く使われている

<読み取り方のポイント>

  • 基準値より高い場合、膵炎の可能性が疑われる
  • 数値だけで確定できるわけではなく、症状や他の検査結果と合わせて総合的に判断される

CRP(C反応性タンパク)

<数値が示すこと>

  • 体内の炎症を示す代表的な血液検査項目
  • 膵炎だけでなく、感染症や他の臓器の炎症でも上昇する

<読み取り方のポイント>

  • CRPが高い=膵炎が重いとは限らない
  • 炎症の強さを示す指標の一つとして参考にされる


老犬の場合、腎臓や肝臓など他の臓器の数値も同時に変動していることが多く、獣医師は数値を「単体」で見るのではなく、「全体の流れ」「症状との一致」を重視して判断します。


エコーで
分かること・注意点

血液検査と並んで行われることが多いのが腹部エコー検査です。
エコーでは、膵臓の腫れや周囲の炎症、腹水の有無などを確認できます

急性膵炎が進行している場合、膵臓が大きく見えたり、周囲が白く映ったりすることがあります。
しかし、老犬では体型やガスの影響で膵臓自体が見えにくいことも珍しくありません。

また、症状が出始めたばかりの段階では、エコー上ははっきりした異常が確認できないケースもあります。
そのため「エコーで異常が少ない=安心」とは言い切れない点が、飼い主にとって分かりにくい部分です。

このように、エコー検査は有力な情報源ではあるものの、血液検査や臨床症状と組み合わせて総合的に判断される検査であることを理解しておくことが大切です


〜 わが家の体験談 〜
急性膵炎の検査

わが家の愛犬は、これまで急性膵炎を2回発症しています。

その時に受けた検査についてまとめました。

初発時の検査

「食後にじっとしていることが多い」という様子が気になり、胆泥症が悪化しているのかと思い、かかりつけの動物病院を受診しました。

血液検査とエコー検査の結果、
胆泥症や肝機能の悪化は見られませんでしたが、膵炎の疑いがあるとの診断でした

その病院では、PLI(膵特異的リパーゼ)は外注検査のため当日結果は出ませんでした。
その代わり、SNAP cPL(犬膵特異的リパーゼ検査キット)で陽性が出ており、血液検査ではCRP(炎症反応)が上昇していました。
これらの結果から、急性膵炎の治療を始めることが提案されました。

外注の検査で急性膵炎が否定されることを願いながらも、「まだ元気でいてほしい」という思いが強く、治療を開始することにしました。

再発時の検査

再発のときは、大量の嘔吐と食欲不振があり急いで受診しました。

かかりつけ病院が休診日だったため、別の動物病院を受診しました。
血液検査ではPLIとCRPの上昇に加え、肝機能の悪化も見られました

当時の検査データは、以下の表にまとめました。

検査項目愛犬の検査値参考基準値(目安)
CRP6 mg/dL0.0~1.0 mg/dL
v-Lip(リパーゼ)31 U/L~160 U/L
総ビリルビン0.5 mg/dL0.0~0.3 mg/dL
ALP(アルカリフォスファターゼ)947 U/L20~150 U/L
AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)156 U/L15~66 U/L
γ-GTP14 U/L0~10 U/L

膵酵素の上昇は目立たない一方で、肝機能値とCRPが高く、体内で強い炎症が起きていることが示唆される検査結果でした

エコー検査では、膵臓の周囲が白く見えていました。
これは前回の膵炎の影響による変化の可能性もありましたが、再発と時は前回とは別の病院での検査だったため、過去の画像と比較できず、はっきりとした判別は難しいとのことでした。

また、胆泥症の悪化や腫瘍は確認されませんでした。
一方で肝機能の数値が悪かったことから、胆管炎の可能性も考えられると説明を受けました
さらに、胃や十二指腸の動きもほとんど見られず、消化管がほぼ動いていない状態だったそうです

総合的な判断として、膵炎の影響で周囲の臓器にも炎症が広がり、特に胆管に炎症が起きている可能性があるため、まずは膵炎の治療を受けることになりました。

「治療が効いてほしい」と毎日祈りながら通院していたことを、今でもよく覚えています。


老犬の急性膵炎の治療

老犬が急性膵炎と診断されたとき、多くの飼い主さんが次に直面するのが、
「どんな治療をするのか」
「入院は必要なのか」
という現実的な不安です。

本章では、老犬の急性膵炎で一般的に行われる治療内容と入院中の経過を整理しつつ、老犬だからこそ治療が慎重になる理由、そして我が家の体験についてお伝えします。


点滴・食事・投薬が基本の治療

急性膵炎には特効薬はなく、治療は入院・通院を問わず対症療法が中心になります。
老犬の急性膵炎の治療で大切なのは、点滴・食事・投薬です。
それぞれの治療の意味を理解しておくと、治療中も少し安心できます。

<点滴>
水分補給と膵臓への負担を減らすために行われます

嘔吐や食欲が落ちると体内の水分や塩分のバランスが崩れやすくなるため、点滴で体の状態を安定させます。
<食事>
以前は完全な絶食が基本でしたが、最近では「嘔吐が激しい場合を除き、少しずつ食べさせる」方針が増えています

発症から24~48時間程度で、獣医師の指示に沿って低脂肪の食事を少量ずつ与えると、膵臓への負担を抑えつつ体力を維持できます。
<投薬>
症状に応じて、炎症を抑える注射薬吐き気を抑える制吐薬痛みを和らげる鎮痛薬などが必要に応じて使われます

これらの治療は、膵臓の炎症や体の負担を軽くしながら、老犬の体力を維持し回復をサポートすることが目的です。

老犬の治療が慎重になる理由

老犬の急性膵炎では、若い犬と比べて治療がより慎重に進められる傾向があります。
その背景には、体力や回復力の低下、そして持病の存在があります。

老犬は、腎臓や心臓、肝臓などに慢性的な問題を抱えていることが少なくありません
そのため、点滴の量や速度ひとつ取っても、「膵炎には必要だが、他の臓器に負担をかけすぎないか」というバランスが求められます。

また、痛み止めや吐き気止めの薬も、年齢や臓器機能を考慮して種類や用量が調整されます。
このため、治療の進み方がゆっくりに感じられたり、「積極的な治療をしていないのでは」と不安になるかもしれません。

しかし実際には、老犬にとって無理のない治療を選ぶことが、結果的に回復への近道になるケースも多く、老犬特有の治療判断の難しさと言えます。


〜 わが家の体験談 〜
治療経過

わが家の愛犬は、これまで急性膵炎を2回発症しています。

初発と再発では病状が違ったため、それぞれの治療内容と簡単な経過をまとめました。

初発時の治療

初発時の治療は、以下の内容です。

初発時の治療

  • 炎症を抑える注射(ブレンダZ)を5日間
  • カモスタットメシルの内服を10日間


この時は元気があり、食欲も保たれており、嘔吐も見られなかったため、入院はせず5日間連続で通院による治療を受けることになりました。

5日後の血液検査ではPLIの数値も低下し、治療を無事に終えることができました。

再発時の治療

再発の時は、急性膵炎だけでなく胆管炎や肝炎も疑われていました

「膵炎の影響で周囲の臓器にも炎症が広がり、特に胆管に炎症が起きている可能性がある」と言う、獣医師さんの総合的な判断で、まずは膵炎の治療を優先して行うことになりました。

この時に受けた治療は、以下の内容です。

再発時の治療

  • 炎症抑制剤(ブレンダZ)
  • 補液(リンゲル液)
  • 制吐剤(注射:プリンペラン/内服:マロピタット)
  • 鎮痛剤(ブピレノルフィン)
  • 胃酸分泌抑制剤(注射/内服:ファモチジン)
  • 肝臓疾患用剤(内服:グリチロン)
  • 利胆剤(内服:ウルソ、スパカール)

症状の重さから入院も提案されましたが、少しでも安心できる環境で過ごしてほしいという思いが強く、可能な限り通院での治療を希望しました

治療を始めて3日目、食欲は少しずつ回復してきたものの、今度はパンティング(浅く速い呼吸)が見られるようになりました。
痛みが強いのではないかと不安になり、時間外で再度受診し、この日は一旦病院に預けることになりました。

この時の血液検査とエコー検査の結果、肝機能に改善が見られていないことがわかりました。
それが膵炎の影響によるものなのか、肝臓自体の問題なのかは、この時点では判断が難しいとの説明でした。

入院でも通院でも治療内容に大きな差はないとのことだったので、通院治療を継続する選択をしました

その後は少しずつ元気を取り戻し、5日間の注射治療を終えた頃には、PLIの数値も低下しました。

肝機能の回復には時間がかかるため、定期的な血液検査で経過を見ていくことになりました。
もし数値の改善が見られない場合は、胆管炎や肝炎の可能性も考えて追加の治療を行う必要性も説明を受けました。

幸い、肝機能も、時間をかけて徐々に回復していきました。

再発をきっかけに療法食を開始し、現在は慢性膵炎の治療薬を内服しながら生活しています


老犬の急性膵炎後の生活

愛犬が急性膵炎の治療を乗り越えた後に、飼い主さんが感じるのが、「これから今まで通りの生活に戻れるのだろうか?」という不安ではないでしょうか。

急性膵炎は、症状が落ち着いたあとも生活全体を見直すきっかけになる病気です。
特に老犬の場合、「元気そうに見える」ことと「体の中が安定している」ことが一致しない場面も少なくありません。

本章では、急性膵炎後の老犬の生活について、一般的に気をつけたい食事の考え方、再発予防として獣医師からよく伝えられるポイント、そして我が家の愛犬の生活についてまとめました。


食事内容で気をつけるポイント

急性膵炎後の生活で最も大きく変わるのが食事管理です。
多くの動物病院で共通して伝えられるのは、「膵臓に負担をかけない食事を続けること」が再発予防につながるという点です。

一般的に意識されるポイントを以下にまとめました。

膵臓に負担をかけない食事

  • 脂質を控えめにすること
  • 一度にたくさん食べさせないこと
  • 消化しやすい形状や調理方法を選ぶこと、
  • 急なフード変更を避けること

老犬の場合、膵炎だけでなく腎臓や肝臓など他の臓器への配慮も必要になることが多く、「膵炎に良い食事=その子に最適」とは限らない点が難しいところです。


再発予防として
獣医師に言われたこと

初発時、獣医師さんから言われたのは、
「再発する可能性があること」
「慢性膵炎に移行する可能性もあること」
でした。

ただ、そのときは目の前の症状を乗り切ることで精一杯で、「再発」「慢性」という言葉まで考える余裕はありませんでした。

幸いにも回復してくれ、日常が戻るにつれて、いつの間にか「再発」「慢性」という言葉は頭の片隅へと追いやられていました。

しかし、その油断があったのか、急性膵炎は再発しました
しかも、初発時よりも明らかに重い症状でした

もともと尿石症があり療法食を続けていたため、初発時は食事内容を大きく変えることはしませんでした。
ですが再発時には、獣医師さんから「膵炎は命取りになることがある」と言われ、迷わず膵炎の治療を最優先にし、低脂肪食へ切り替える決断をしました。

「治ったから大丈夫」ではなく、いかに再発させない生活を積み重ねていくかが大切だと身に沁みて感じました。


わが家が今も続けていること

急性膵炎を経験してから、わが家で大切にしているのは、小さなサインを見逃さないこと、そして「これくらいなら大丈夫」と侮らないことです。

老犬の膵炎は、「完全に治す」ことを目指すのではなく、上手に付き合っていくという意識が必要だと感じています。

上手に付き合っていくために続けていることをご紹介します。

食生活

膵炎を再発、悪化させないために、食生活に気を配っています。

気をつけるのは、フードや手作りご飯だけではありません。
おやつも含めて、すべてが食事管理だと考えています。

わが家の愛犬は、今、慢性腎臓病も抱えています。
膵炎と腎臓病では、目指す食事内容が真逆であるため、食事選びには本当に悩みました。

獣医師さんとよく相談したうえで、「膵炎は急激に命に関わる可能性がある」という点を重視し、現在は低脂肪食を優先しています。

観察と記録

愛犬の何気ない日常の様子をよく観察し、少しの変化にも気づくこと。

そのために、わが家では体調や食事の内容を簡単に記録するようにしています。

記録している内容

  • 食事の内容と量、時間
  • 食欲の有無
  • 尿、便回数(変化があれば性状)
  • 嘔吐の有無
  • 元気の程度や気になる症状、変化
  • 飲んだ薬


毎日、ほんの一言でも残すことで、「いつもと違う」「いつから違う」などを把握することができます。
受診の際にも、獣医師さんに状態を正確に伝えやすく、診断や判断の助けになると感じています。


老犬の急性膵炎を
経験して伝えたいこと

老犬の急性膵炎を経験した飼い主として、伝えたいことがあります。

わが家の愛犬が急性膵炎を発症したとき、私はペットロスの真っ只中にいました。

「悲しんでばかりいて、目の前にいる愛犬の小さな異変に気づけていなかったのではないか」
「私が落ち込んでいたせいで、愛犬が体調を崩してしまったのではないか」

そんなふうに、自分を責める気持ちが何度も浮かびました。

そして、
「まだ元気でいてほしい」
そう願うことしかできませんでした。

愛犬が病気になると、自分を責めてしまう飼い主さんは決して少なくないと思います。
それが急性膵炎のように、命に関わる病気であれば、なおさらです。

もし今、老犬の急性膵炎と向き合いながら
「何が正解なのかわからない」
そう感じているとしたら、それはとても自然なことです。

急性膵炎は、経過や回復のスピードに大きな個体差があります。
他の犬と比べても、答えが見つからない病気です。

私自身、現実を知ることが怖くて、インターネットやSNSで情報を調べることができませんでした。
ただ愛犬を信じ、獣医師さんを信じて、祈るような気持ちで過ごしていました。

不安との向き合い方は、人それぞれです。

でも、愛犬の異変に気づき、動物病院を受診し、悩み、考え、行動している時点で、それはもう十分すぎるほどの愛情だと思います。

この体験談が、同じ状況にいる飼い主さんの気持ちを少しでも軽くし、
「自分だけじゃない」と感じてもらえるきっかけになれば幸いです。


まとめ|
老犬の急性膵炎と向き合うということ

老犬の急性膵炎は、突然起こり、症状の出方や回復の過程にも個体差があります。
嘔吐や食欲不振といった分かりやすい症状だけでなく、「少し元気がない」「いつもと様子が違う」といった小さな変化から始まることも少なくありません。

特に老犬の場合、加齢による変化や持病と症状が重なり、受診の判断や病状の見極めが難しくなります。
そのため、血液検査やエコー検査の数値は「単体」で判断するのではなく、症状・経過・年齢を含めて総合的に考えることが重要です。

また、急性膵炎は回復して終わりではなく、再発や慢性化を見据えた生活の見直しが欠かせません。
食事内容や量、与え方を工夫しながら、その子の体調や他の疾患とのバランスを取り続ける必要があります。

この記事でお伝えしてきたように、

  • 「いつもと違う」と感じて受診したこと
  • 迷いながらも治療や生活の選択を重ねてきたこと

それ自体が、愛犬と真剣に向き合ってきた証です。

もし今、老犬の急性膵炎で悩み、「何が正解かわからない」と感じているなら、
同じように悩みながら進んできた飼い主がいることを、少しでも思い出してもらえたらと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

📚<主な参考文献・情報>

  • 犬の急性膵炎の20例の臨床検討. (2015). 動物臨床医学, 24(3), 124–127.
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/dobutsurinshoigaku/24/3/24_124/_article/-char/ja/
  • 大野 耕一. (2015). 犬の膵炎―治療のコンセプトと問題点―.
    Infovets : Information for Veterinarians.
    https://cir.nii.ac.jp/crid/1521136281153723520
  • 急性膵炎の犬におけるC-反応性蛋白の経時的観察. (2006).
    日本獣医師会雑誌, 59(9), 619–622.
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvma1951/59/9/59_9_619/_article/-char/ja/
    Daktari動物病院 東京医療センター. (2024). 犬の急性膵炎.
    https://www.daktari.gr.jp/diseases-and-cases/disease08/

  • Cridge, H., Twedt, D. C., Marolf, A. J., Sharkey, L. C., & Steiner, J. M. (2021).
    Advances in the diagnosis of acute pancreatitis in dogs.
    Journal of Veterinary Internal Medicine, 35(11), 2572–2587.
    https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8692219/

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